まっすぐひねくれる | ナノ
「あー、疲れたー」
「お疲れ様です」
「小林さん(運転手)、コンビニ寄っていいですか?」
「はい、分かりました。学校の近くのところで大丈夫ですか?」
「イエス。どこでも大丈夫でーす」
レッスンの帰りはいつもこんなテンションである。ピアノを教えることだけを仕事にしてる年増の女はどいつもこいつも最悪だ。私への風当たりがきつすぎる。
「着きましたよ」
「ありがとうございました、ちょっと行ってきます。タバコでも吸って待っててください!」
「はい」


バームクーヘンかシュークリームか…バームクーヘン二つ…うん…今何時だ?いや、考えるのはよそう…。
「何してんの?」
「ほお!?」
「こんばんは〜〜」
「御幸!?何やってんの!?」
「普通にロードワーク」
「こんな時間に?」
「お前もな」
「まあそうだけど」
「バームクーヘン買うの?食うの?この時間から?」
「ちょ、やめて、聞かないで」
問題は分かってるから、聞かないでほしい。
「まだ制服っつーことは、ピアノ?」
「うん、御幸は…何そのダサいTシャツ」
「ダサいとか言うな」
「ロードワークって走るやつか…どうりで汗臭い」
「汗臭いとか言うな」
「嫌いじゃないけど」
「は?」
「汗まみれの御幸。好きだよ?」
「は?」
小林さん(運転手)の分もいれて三つのバームクーヘンをもって、レジに行く。御幸は動かないので置いていく。
「じゃ、おやすみ。また明日」