「いやー!!!」
「えっ」
「避けてー!!!!」
ちょっと強めに蹴ったボールが見事に人に当たった。これがもし運動神経のいい倉持君とかサッカー部のあの人とかだったら避けられたと思う。しかし、運の悪いことにそこにいたのは御幸一也だった。
「ぶっ!」
「が、顔面…!避けてって言ったのに…!ごめん御幸!大丈夫かー!!!」
「痛い…………」
「ごめん!本当大丈夫!?」
「大丈夫じゃねーわ!」
「メガネは、メガネは無事!?」
嫌な予感はしていたが、一ミリも避けようとしなかったぞこいつ。避けてっつってんのに、なんで微動だにしなかったの?体育やってるときにボーッとしないでよ頼むから!
「あ、鼻、御幸、鼻血!」
「まじ?」
「うわあどうしよう、イケメンに鼻血出させてしまった…!ど、どうしよう…ほ、保健室!?保健室行こう!?」
「まずティッシュとかくれない?」
「あ、そうか!誰か!ティッシュとかない!?ていうか垂れてる!ジャージまで垂れてる!ちょ、せめて手とかで押さえてよ!何で垂れ流し!?」
「大惨事」
そんなに勢い強くなかったし、そこまでひどいものじゃないと思ったけどモロに食らったせいで、鼻に大ダメージらしい。ううう、血まみれだよ、どうすんのこれ…。
「先生、私氷もらってきます!御幸はどっかそのへんに座ってて!」
「おー…」
「ぶつけてごめんね!」
「みょうじちゃんの慌てっぷりすごいね」
「でもあれを避けられない御幸も悪い。不意打ちでも何でもないし、距離あったし」
「というか隣で何もせずに見てる倉持君シュールだな」