「御幸って目悪いの?」
「見て分かるだろ」
「いやなんか、メガネの印象はあるけど目が悪い印象はあんまりない」
「何だそれ」
「試合中はコンタクトなんでしょ?」
「よく知ってんな」
野球部のサポーターこと矢澤ちゃんが教えてくれたからね。
「コンタクトって痛い?」
「ズレたりしたら痛いけど、普通に生活していて痛いってことはない」
「でも怖いなー、目の中になんか入れるの」
「お前目薬もダメなタイプ?」
「よく分かったね、そうだよ」
「なんでちょっと誇らしげなんだよ」
「目じゃなくて口が開く」
「神経の配線間違ってんじゃねーの」
人体の不思議……。
「このまま一生、一人で目薬させないままなのかな…」
「ダッセーな」
「御幸も一人でできないでしょ」
「出来るよ。俺をなんだと思ってんの」
「えっ、できないならさしてあげようと思ったのに」
「……いらねーよ」
「なんで溜めた?膝枕想像した?した?」
「…しばらく俺に話しかけないでくれる?」
「そ、そんな怒る?そんな怒るやつだった?これ?」