まっすぐひねくれる | ナノ
「うえええええん」
「うるっせえよ」
「うえええだってえええ」
「なんでお前が誰よりも号泣してんの?」
卒業式はかなしい。

「く、くりす先輩……」
「行ってこいよ、ボタンでも何でももらいに。まあもうなさそうだけど」
「うえええええ」
「だからうるせえって」
「御幸はかなしくないの」
「悲しくてもお前みたいにはならない」
「ひどい」
「クリス先輩の横で男泣きしてる沢村みたいにもならない」
「沢村君の気持ちわかる〜〜……」
「一緒に泣いてくれば?」
「……未練がましい感じするじゃん」
「未練あったってクリス先輩は受け入れてくれる」
「うええええええ」
「だあもう鬱陶しい!」
「先輩卒業すんのやだあああ」
「俺に言うな。すがるなら本人にしろ!」
「御幸も卒業式泣きそうだったくせに!」
「はあ!?ぜんっぜんそんなことねーし」
「ちょっとウルッとしてたじゃん!式中に沢村君が立ち上がって叫ばなかったら泣いてた!」
「お前なんて朝教室入ってすぐに泣いてたろ。どんだけ気が早いんだよ笑うわ」
「うるさああああうわあああん」
「人のがそれで自分が卒業する時どうすんだよ?」
どうなっちゃうんだろう?
「ていうか御幸行かなくていいの」
「どうせこの後部活で集まるから」
「……そっか」
「あ、クリス先輩こっち見てる」
「うわあ、泣いてるの見られた!」
「今さらだろ。お前と沢村が泣いてるのは多分ほとんどのやつが知ってるから」
「うるさい!」
「ほら、おめでとうって言わないと」
「あんたも言えよ」
「はっはっは、仕方ねえなあ」
「せーのでね」
せーの、
「卒業おめでとうございます!」