「もうすぐ春休みだよ」
「春休みなんてあってないようなもんだろ」
「まあそうだけど、気分的には嬉しい!桜も咲くし!」
「お前桜とか愛でるタイプじゃねーじゃん」
「は?愛でるから」
「ははは」
「何でよ、桜かわいいじゃん、ピンクで」
「もうその台詞でダメな感じする」
え、どこがダメなの。
「あー、とうとうクラス替え……友達できるかなあ不安だー」
「みょうじは大丈夫だろ」
「御幸はダメだな」
「断定すんな」
倉持君は……うんまあ少ないけど御幸よりかは男子とも上手くやってるよね。
春は、別れの季節で、出会いの季節。複雑だ。
「さみしくなるね」
「はあ?せいせいするわ」
「御幸のそういうとこ本当ムカつく」
「うるせ」
「ちょっとは名残惜しめよ、友達でしょ」
「お前クラス離れたら俺の顔も忘れるんだろ、どうせ」
「何その卑屈発言……気持ち悪いなあ」
「うっわ〜〜傷付いた」
御幸みたいなイケメン忘れたくても忘れないわ。ああ、イケメンってすごい。
鼻歌を歌いながら指先のあわいピンクに塗られた爪をいじる。うん、春色やっぱかわいい。
「それ何の曲?」
「んー花の歌」
「はっはっは、知らねー」
「だろうな。ランゲ知ってたら友達になれた」
「えっ、みょうじさっき俺のこと友達って言わなかった?」
「……」
「……黙んなよ」