「みょうじちょっとお茶買ってきて」
「嫌だよ」
「しょうがねーな、じゃあジャンケンするか」
「嫌だっつってんだろ、何譲歩したみたいになってんだよ」
「俺喉かわいた」
「知らないよ!」
「あー、じゃあ買いに行くから付き合って」
「女子か!」
一人で行け!って言いながらも立ち上がってしまうあたり、私って本当付き合いいいな……。
「お茶買うんじゃないの〜〜早くしろよ〜〜」
「いざ買うとなるとファンタも飲みたくなった」
「炭酸は体に悪いよ」
「お前が飲めねえだけだろ」
「うるさい」
「みょうじなんか飲む?」
「え、おごってくれんの?」
「んー」
「じゃあ私いちごミルク」
「うわ、あまそー」
「甘いよ」
「よく飲めんな」
「そこが好きなんだよ、分かってないね」
御幸は自分のよりも先にいちごミルクを買った。早く決めろよな〜、奢ってくれたから待ってあげるけど。
「欲しい?」
「え、くれるために買ったんじゃないの?」
「やるとは言ってない」
「あんたそれ飲めないでしょ」
「……他の奴にやる」
「何でそんなことするの!?意地悪か!!」
「はっはっは、とれるもんならとってみろ」
「意味が!わからない!届かない!」
腕をあげてわざと私が届かない位置にいちごミルクを持っていくという意地悪っぷりを発揮する御幸にイライラしながら手を伸ばす。これ多分あれだな、私を構いたいだけだな。
「こんなことしてないで、さっさとお茶でもファンタでも買ってよ!もう!バカ!」
「付き合ってくれるお前もお前だけどな」
「ありがたく思えよ!」
満足そうな顔で笑って、腕を下げたので、そこからスルリといちごミルクを抜いた。これは私のだ。
「ちょ、おま」
「え?」
変なタイミングで御幸が動くから、ぶつかってしまった。あっぶねーな!バランスを取るために掴んだのは、御幸の腰のあたり……よりも下。
「あわっ!」
「おっまえなあ……」
「ご、ごめん……」
「謝るなら、手を離せ。揉むな!」
「いい尻ですね」
「セクハラですね」
「すごい……」
「だーっ、マジでやめろ!」
手を振り払われた。なんていうか、硬いけど柔らかいっていうか、筋肉の塊みたいだった……。
「ごめんごめん、わざとじゃない」
「思いっきり揉んでそれ言うか」
「…代わりに私のも揉む?」
「もっ、まねえよ」
「あ、ちょっと考えたでしょ〜、スケベ〜」
「スケベ言うな、セクハラ女」
「意地悪するからだよ。因果応報だよ!」
「あー、はいはい。帰るぞ」
「飲み物は?」
「お前のもらう」
「はあ?甘いの飲めないくせに?」