「何真剣な顔で見てんのかと思ったら……雑誌かよ」
「倉持君、頭に肘を置かないでほしい」
「誰だこれ?」
「聞いてよ重いよ」
「みょうじこういうのタイプなのかよ?身の程知らず?」
「身の程知らず!?ていうか世の女の子は大体この人に夢中なんだよ!?知らないの?」
「知るわけねーだろ」
「福○蒼汰知らないとかどんだけテレビ見ないの……」
「野郎ばっか集まって見るテレビにこんな奴が出てるわけねーだろ」
「た、確かに」
野球部男子が集って、彼の出てるドラマとか見てたらちょっと引くかもしれない……。
「まあ見てよ、かっこいいよね〜」
「こんなヒョロいやつがいいのか?」
「ヒョロくないよ!背も高いし、鍛えてるんだって」
「多分俺の方が足速いぜ?」
「足が速いってだけでモテるの小学生までだよ倉持君!」
特別芸能人が好きなわけじゃないけど、やっぱり少女漫画や恋愛ドラマはそれなりに見るし、イケメンは好きだ。目の保養にもなるし……。
「なんかコイツ、降谷っぽいな」
「え、そう?」
「パッと見な。髪型とか背格好とか」
「そう言われて見るとそうかもしれない……降谷君のほうがぼーっとしてるけど」
「ヒャハ、ひでーなお前!」
「まあ降谷君もイケメンだよね」
「案外ああいうのがタイプなんじゃねーのお前」
「え〜完全にノーマークだった」
「あんだけ不思議な懐かれ方しててノーマークかよ!」
「いや、まあ確かに不思議な懐かれ方はしてるけどさ……」
「だってよ御幸」
「えっ、ここで俺に話振る?」
突然御幸に声をかけた倉持君がニヤニヤしながら、私の雑誌を御幸に見せる。あ、すごい嫌な顔。面倒くさそう!
「俺の方がイケメンだな」
「お前凄いな」
「言い切ったもんね」
どんだけ自信あるんだよ、自分に。
「みょうじはこいつと御幸どっちが好きなんだよ」
「えっ、好き!?」
「どっちも好きとかどっちも嫌いとかはなしな」
「うーーーーーーん」
「御幸だって」
「いや、何勝手に答えてんの?まだ悩んでんの見てわかるじゃん」
聞いてきたくせに倉持君は勝手に答えて、ニヤニヤしながら御幸を見た。それを受けて重々しく御幸が頷く。
「当然だな」
「何が当然なんだよ、自信過剰だよ」