「まえぞーのくーん、ちょうどいいところに!」
廊下を通りかかった前園君を止める。
「何やみょうじ」
「これ開かなくて」
「何でガッコにジャム持って来とんのか知らんけど貸してみ」
「このジャムパンにさらにイチゴジャムを投入することでさらにジャム感を増やそうかと思って!」
「お前……頭ええやないか」
「ありがと〜〜」
わしわしと豪快に頭を撫でられた。前園君はいいやつである。
「ほれ、開いたで」
「わーい、ありがと、さすが頼りになる男!」
「やめぇや、照れる」
「ジャムパン食べる?」
「ばっ!か、間接キスになるやんけ……」
「あーそういうの気にする人なんだ前園君、ごめんね」
「いや、お前が嫌じゃないなら、」
「あ、御幸、ジャムの蓋開いた!ジャム注入できるよ!」
「早くしろよ、俺ジャムパンもう食べ終わりそう」
「あー!待っててって言ったじゃん!テメーが非力なせいで前園君に開けてもらったんだよ!」
「力入れたら爪割れそうなんだもん」
「女子か!」
御幸が開けてくれないから!フタが開いたイチゴジャムを持って席に戻って前園君に手を振ると、彼は下唇を噛んで去っていった。?、あれ?
「御幸、やっぱお前には負けへん……死んでも負けへん……」
「??」
「女子とイチャイチャしとる奴なんかに負けてたまるか!」
「??、おう?」