「うーん……」
「何唸ってんだ?」
「……」
「無視すんな」
「あいた!なんで叩くの!」
「無視するからだろ」
「御幸だって私のことよく無視すんじゃん!」
「俺はいいの」
「理不尽!」
遺憾の意を唱えながら、叩かれた頭をさする。暴力的だなあ、もう。
「で、何で唸ってたの」
「……ニキビが」
「ニキビィ?」
「何その顔!女の子にとっては一大事だよ!」
「知らねーよ」
「うるさいなあ、もうほっといて!」
ニキビができたなんて、私にとってここ数ヶ月で一番大きな悩みなのに、御幸は超どうでもよさげな顔をしている。どうせ男子には分かんねーよ!
「どこ」
「はっ、何!?」
「だから、ニキビ。どこにあんだよ」
「探すな!近い!こっち見んな!」
急に顔を至近距離で覗き込まれて、びっくりした。なんなんだコイツ!?
「あ、これか」
「!?、やめっ」
「前髪で隠すとさらに悪化するぞ」
「う、うるさいな、ほっといてってば」
「つーかこんなの誰も気にしねーし見えねーだろ」
「ほっとけ!!!」
隠していたニキビを見られて、かつ色々言われて私のプライドはそこそこダメージを受けた。恥ずかしい辛い。
「はっはっは、顔真っ赤。そんなにコレ、見られたくないんだ?」
「うるっさい、もういいでしょ!」
ばしっと手を振り払って、前髪を戻す。最悪だ。せっかく隠してたのに。
「そんな怒ることかよ」
「デリカシーがない……」
「かわいい」
「……はあ!?え!?なに!?!?」
「そんなどーでもいいことめっちゃ気にしてんの、バカみたいで」
「表出ろ!!!御幸一也ァ!!!」