「どう!倉持君、萌え袖とツインテール!萌える!?」
「……」
「せめてなんか言って!」
「目も当てられないくらい痛い」
萌えというやつは、私には難易度が高かったらしい。
昼休みに盛り上がったので友だちにやってもらったが、倉持君からの反応はイマイチだった。イマイチっていうか最低だった。
「自分でもツインテールはキツいかなあって、思ってたんだよね」
「何でやったんだよ」
「フミちゃんたちが可愛いって言うから……」
「お前それ遊ばれてるだけじゃねえの」
「うん私もそう思う……」
いそいそと髪をほどこうとして、はたととまる。鏡がなかった。そういえば机の中にポーチいれっぱなしだったっけ。
倉持君との間に悲しみを残しつつ自分の席に戻る。
「あ、ねえ、御幸はこれどう思う」
「いいんじゃねえの」
「おい、こっち見ろよ」
「……」
「……」
「……痛い」
「やっぱり?」
「そういうのは可愛い子がやってこそだよな」
「うん、普通に傷ついた」
「とりあえずその頭はない」
「もういいよ分かったから」
一応聞いてみたけど、やっぱり倉持君と同じような反応だったので、ちょっと凹みながら鏡を取り出す。うん、これはねえわ。自分で自分を見てそう思った。
「萌えキャラへの道は遠いな……」
「お前萌えキャラ目指してんの?どっちかっつーとゆるキャラ顔なのに?」
「新しい感じの悪口やめて」
「ふなっしー的な」
「新しい感じの悪口やめて!!」
こいつほんと人の悪口言ってる時が一番いい顔してるな。最低だな。知ってたけど。
髪をほどいて、テキトーに手ぐしで整える。鏡はあったけどブラシはなかった。
「萌え袖もこれ邪魔だな……まくりたい」
「男らしいな」
「うるさい。だって似合ってないなら意味ないし」
「……それはそこまで変じゃねえけど」
「ほう」
「何」
「これはアリですか御幸さん」
「俺の好みとかじゃなくて、あくまで一般論だけどな」
「でもアリなんだよね」
「……ウッゼ」
「可愛いなら素直に可愛いって言えばいいのに。照れ屋か」
「調子乗んなよゆるキャラ」
「その悪口やめろっつったろ!」