まっすぐひねくれる | ナノ
御幸の特技が料理らしい。
「何その女子力高そうな特技…」
「そんな凝ったやつは作れねーけどな」
「得意料理は?」
「炒飯」
「クッ、確かに中華鍋が恐ろしく似合いそう…」
「みょうじは料理できねーの?」
「出来なくはない。やらないだけ」
「言い訳にしか聞こえねーよ」
でも私の趣味はピアノだし、女子力ならそんなに負けてないと思う。寝癖だって私ちゃんと直すし。ってそもそも御幸は男だからそんなに女子力いらないわ。
「古今東西、料理ができる男はモテる」
「そんなくだらない理由のために!?」
「や、普通に必要に迫られただけ」
「…あー」
「そのわけ知り顔ウザいからやめろ」
「人がせっかく少ないデリカシーを振り絞ってやったのを己は」
「お前に気を遣われると腹立つ」
「もう一生気なんかつかわねーよバーカクソ!」
「小学生か」
でも料理か。一人で生きていくためには必要かもしれない。炊事洗濯ができない、気も遣えないダメ女は行き遅れる…?
「私も料理やろう」
「まあ、できるに越したことはねーわな」
「御幸には負けられない」
「俺と競ってどうすんの」
「ていうか料理ができるとモテるんでしょ。ぶっちゃけ私もモテたい」
「ぶっちゃけたな〜」
「それにやっぱ女子だし。花嫁修行?必要だよね」
「…女子だからって料理が出来なくてもべつにいいと思うけど、個人的には」
「それは御幸が料理できるから思うんであって、ほかの男からすればやっぱり料理がうまい女の人のがいいに決まってる」
「料理ができるやつを選べばいいじゃん」
「たとえば俺とか?みたいな寒いこと言うの?うわー、きつい」
「言わねーよ。ていうか嫌だわみょうじとか」
「私もだよハゲ」
「ハゲてねーから」