「これやりたい」
「…知るか」
「ゲーム!したい!ほしい!」
ツイッターで見つけたゲームを御幸に見せたら、すごくどうでもよさげに眉を寄せられた。
「買って貰えば?おとーさんに」
「嫌味な言い方やめて」
「頼んだら買ってもらえるだろ」
「ムリ」
「お前にスゲー甘いんじゃなかったの」
「ゲームは買ってもらったことないんだ」
「ふうん」
マンガとか、テレビとかも、いまだにチェックが入る。過保護じゃない?って時々思う。
「やってみたいなあ」
ゲームなんて、たまごっち以外まともにやったことない。
「……倉持〜〜」
「んだよ」
「これ、お前もってんじゃねえの?」
御幸がスマホもってる私の手を掴んで、倉持君に私のスマホを見せた。
「貸してやれよ、こいつに」
「やだよ」
「即答!?」
「壊しそうだからな」
「壊さないよ!ちゃんと返すよ!」
倉持君持ってるんだ、これ。いいな〜。というか失礼だな。壊さないし、返すし。
「…そうだな、俺の部屋来んならやらしてやるよ」
「え!?」
「対戦してやる」
「私多分すごいヘタだけど大丈夫?」
「まあ女だし…技かけねーでやるよ」
「男なら技かけられるんだ!?」
「コラコラ何行く感じになってんだよ、女子は立ち入り禁止だろ」
御幸に止められた。真面目か。
「みょうじだし、別によくね?」
「いや、増子さんとか気を遣いそうだし止めとけよ」
「私は構わないし、気も遣わないよ」
「お前は遣え」
増子さんが誰だか知らないし。
「まあでも確かに男子寮に単身で乗り込むのは危ないか……」
「色気も何もないくせによく言うな」
「倉持君って私に容赦ないよね。ていうか何もなくはないよ!乳はある!」
「それは知ってるから、強調すんな!寄せんな!」
「……はい、そこまで。みょうじは倉持に貸してもらえ。倉持は貸してやれ。以上」
「勝手にまとめてんじゃねえよ!」
「ちょっと対戦したかったのに……」
でも立ち入り禁止じゃあしょうがないか。御幸のほうが正論だ。
「お前バカに見えるから、体張ったギャグはやめろ」
「バカ!?ていうかギャグって!?」
「胸のことを堂々とネタにするだろ」
「え、ああ…だってよく話に出されるから」
「だからって開き直んなよ」
「な、なんでそんなこと御幸に言われなくちゃいけないの!私の気持ち分かんないくせに!」
「まあ俺にはついてねーからな」
「小学生の時からずっとからかわれ続けた私の気持ちが、男子になんか分かってたまるか!」
「確かに分かんねーけど」
「うん!」
「でも、なんか個人的に嫌だからやめろ」
「うん?」