「みょうじちゃんは、卒業したらどうすんの?」
「え〜?」
「だから、進路!どうすんの」
「進路ねえ」
考えてない、こともないけど。
「分かんないや」
「進路調査票はなんて書いたの?提出昨日までだったでしょ」
「ピアニスト!」
「……すごいね」
「まあ呼び出されるんだけど、これから。トモちゃんは?」
「普通に大学進学だけど」
「だよね〜〜」
ほとんどは大学進学だ。
「みょうじちゃんは大学行かないの?」
「う〜〜ん、私の頭で行けるとこあるかな?」
「がんばれ」
「投げやりな応援だなあ」
「みょうじちゃんなら推薦とれるでしょ。多分」
「う〜〜ん……」
「御幸は、進路って決まってんの」
「むしろみょうじは決まってんの」
「……」
「ノーコメントかよ」
「うーん」
「まあ、俺も部活でいっぱいいっぱいでちゃんと考えられてないけどな」
「そうなんだ」
「ちょっと安心してんじゃねえよ」
「……」
「来年は3年なんだから、ちゃんと考えないとな」
「そうだよね」
「愛娘よ、おかえり」
「ただいま〜そのノリめんどくさいからノらないよ」
「冷たいな!あ、今日学校から電話あったぞ進路のことで」
「うん」
「パンフレット送ってやったのに」
「…親の敷いたレールには乗りたくな、」
「何言ってんだ馬鹿娘!」
「アイタアア!殴ることないじゃん!」
「ピアノ続けたいならこういうとこで勉強したほうがいいってお前も分かるだろ」
「……だって」
お父さんの選んだ学校、全部海外じゃん。