まっすぐひねくれる | ナノ
みょうじはいろんな意味でバカだ。
「御幸おはよう」
「はよ。何ニヤニヤしてんの」
「ニコニコって言ってよ」
「いやニヤニヤだろ」
どう見ても、と付け足すとちょっと不満そうな顔をした。そのあとすぐまたニヤニヤして、スマホの画面を俺に突き出した。
「今日の占い。ラッキーパーソンはメガネをかけた人!」
「ふーん」
「御幸のことだよ多分!なんかいい事あるかな」
「お前そういうの信じるタイプなの」
「まあそこそこ」
「好きだよな、女子ってそういうの」
「御幸は占い信じないの?」
「自分の未来は自分で決める」
「かっこいいなオイ」
ケタケタ笑うみょうじを見ながらため息をつく。こいつの中で、メガネをかけた人は迷うことなく俺なのか。他にも友達たくさんいるくせに。
「で、俺の運勢は」
「結局気にすんのかよ!自分の未来は自分で決めるんじゃないの?」
「それはそれ、これはこれ」
「うわ〜〜、倉持君の運勢はすぐ見れる」
「何でだよ」
「この前こんな話してて、ちょっと気にしてたから。いつでも教えてあげられるように登録した」
「親切だな」
「倉持君は特別だよ!」
「その特別、すげーいらねーだろーな」
「それもう本人に言われたから」
なぜこいつがこんなにも倉持を慕っているのかはいまだにわからないが大して興味もないのでいいとする。
「御幸の運勢調べんのめんどくさいな」
「うわ」
「ラッキーパーソンは私ってことで」
「うわ」
「うわってなに」
「うわ〜〜」
ラッキーパーソン自分ってどんなだよ。なんかそれって遠回しに、だから自分と一緒にいろって言われてるような気がする。完全に考えすぎだけど。
「私がいれば御幸は絶好調だよ」
「それ、自分で言ってて恥ずかしくねーの」
「……恥ずかしいかもしれない」
「じゃあ今日はずっと俺の横にいろよ、ラッキーパーソン」
「恥ずかしい!」
「でもお前のラッキーパーソンも俺なんだろ?ちょうどいいじゃん」
「そう……そうだった」
「忘れんな」
「ていうか!ラッキーパーソンじゃなくてもいつも隣にいる、し……」
……。
「あ、席が隣っていう意味ね!?」
「何一人で焦ってんだお前」
「焦ってねーよ!!」
「アホだなー」
「ニヤニヤしないで!」
まあ内心で焦ってる俺も、人のこと笑えねーんだけど。