「あれ?おねえちゃんもう帰ったの?」
「ああ…うん…」
「?、どうかした?」
御幸の様子がおかしい。何かあったのだろうか。
「お前もう帰んの?」
「うん、おねえちゃん迎えに来たんだけど何かもういないし」
「車?」
「や、自転車だけど」
「あとちょっと待ってられんなら送ってやるけど」
「え?いらないけど」
「だよな〜、みょうじならそう言うよな〜」
「はあ?」
「お前ならナンパもされないだろうし、さっさと帰れ」
「…比べてんな!?身内と比べられる辛さを知らないな御幸テメエ!」
確かにおねえちゃんは顔が可愛いからモテる。ナンパもされる。私は……はあ……。
「…気をしっかりな」
「どういう意味!?私の顔面の話!?」
「色々…総合的にだよ」
「尚悪いわ!ちょ、待って!意味深な言葉を残して行かないで!」
「もう休憩終わるんで」
「バイバイ!!!死ぬほど練習しろ薄情者!」
「一応気をつけてな〜」
「がっつり気をつけるわ!」
失礼だし訳わかんないし何なんだもう。
「ただいま〜」
「あ、おかえり」
「何で先帰ったのおねえちゃん、私野球部まで行っちゃったよ」
「ごっめん、忘れてた」
「ひでえ」
「クリスに送ってもらったからさ〜」
「…クリス?」
「うん」
「クリス先輩?」
「うん」
「なんで」
「何でって…仲良しだから?」
「仲良しなの?」
「まあ……約束してたのもクリスだし」
「へ、へえ〜」
「何?何かあんの?ていうか、クリスと知り合いなの?」
「まあ……ちょっと」
おねえちゃんとクリス先輩って、どういう関係なんだ……?つーか知り合いだったのか二人とも……。
「送ってもらうとか、羨ましいなあ」
「…羨ましいの?」
「羨ましいよ」
「アンタが好きなのは御幸クンでしょ」
「…ちがう」
「あんなイケメンが彼氏なんだから目移りとかあり得な〜い」
「ちがうの!彼氏じゃないの!好きでもないから!」
「…ふーん、で?」
「べ、つに、以上だけど」
「あっそう」
「…付き合ってんの?先輩と」
「クリスと?」
「……うん」
「付き合ってる、って言ったら?」
「え!?付き合ってるの!?!?」
「うるっせーよ」
「ごめん!」
「付き合ってる」
「……え?」
「だから、付き合ってる」
「そ、そうなの?」
「何その絶望的な顔!ウケる!」
「ウケねーよ!!」
ウケねーよ。