「お前、親の前でよくあんな……あんな……」
「もーお父さん泣かないでよ〜」
「不純異性交遊反対!絶対反対!!」
「お父さんうるさい!恥ずかしいからやめて!」
車の中でわんわん泣くお父さんを慰めながら、空港に向かう。見ちゃってショックな気持ちも分かるけど、親に見られた私の気持ちも察して!
「娘が、娘が大人に〜〜!」
「小林さんに泣きつかないで!運転中だから!」
「どこの馬の骨とも知らん男と抱き合ってた〜〜!」
「きゃーっ!恥ずかしいから言わないでよ!お父さんのばかっ!」
「お二人さんうるさいです」
すみません。
「で、いつ紹介してくれんの?」
「いやまず付き合ってない」
「抱きしめてチューするとかやるな、少女漫画見てるみてーだった」
「知り合いのラブシーンほど鳥肌が立つもんはないわな」
「とか言ってゾノ先輩が一番興奮してたじゃないですか!」
「いや途中でみょうじに見つかって逃げたお前が一番はしゃいでたやろ」
……。
「見てたのかよ……」
「わりと最初からな」
「死にてえ…………」
「だろうな」
俺ならその場で死ぬ。とぬかす倉持をとても殴りたかった。
つーかみょうじ知ってて一言も言わなかったなアイツ……。最後必要以上に大声で大好きとか言ったのもコイツらが聞いてたのを知ってて……ああ〜〜〜死にたい。
「はー……でもこれでようやくくっついたな」
「え?いや、付き合ってねえよ」
「何で付き合ってねえのにあのやりとりができんだよ!!!」
今日イチの倉持のツッコミであったと、のちに御幸一也は語った。