集めた欠片はやがて
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そろり、と寝室のドアが開く。

すでにベッド脇のスタンドライトのみとなった照明の中、室内に足を踏み入れたバーニィは、薄暗闇の中でも分かるほど頬を赤らめていた。
バスローブを纏った長身がおずおずと近づいてくる様を、ベッドボードに背中を預けたまま眺める。

バスルームでの情事、その名残。
恥ずかしげに、だがすっかり欲情しきった表情に、私はそっと笑った。

「おいで」

そう言って、両手を広げる。
バーニィが膝を折ってベッドに乗り上げると、ぎしりとマットレスが沈んだ。
私に上乗りになり、ゆっくりと近づいてくる。
まだ乾ききっていないハニーブロンドに指を絡めると、バーニィは私に顔を寄せた。
そのまま、首筋にキスがひとつ落ちてくる。
その唇は、熱かった。

そろそろ主導権を返してあげないと、この負けず嫌いな恋人はいじけてしまうから。
私は黙って、その唇を受け入れた。

首筋に、頬に、瞼に。
柔らかな熱が降り注ぐ。
恍惚とした顔で口付けを繰り返すバーニィの漏らす吐息は、すでに甘く熱を帯びて震えていた。

「誕生日プレゼントはナマエ、そういうことですよね?」

レンズ越しに、濡れた翡翠。
欲情しきった声が、私の脊髄辺りを刺激する。

「バーニィの、好きにして」

耳元に唇を寄せて囁けば、バーニィの息を呑む音がした。
あっという間に脱がされるバスローブ。

「とっても綺麗、ナマエ…」

熱に浮かされたような口調、胸元に当たる柔らかな髪が擽ったい。

「…ん、ぁ」

器用な舌が、胸を、鎖骨を舐めては甘く噛んでいく。

「感じてます?」

一々聞かないでと、言う暇すら与えられない。

「ひぅ…ん」

夢中で攻めたてられ、頭がクラクラした。

「ね、下も触っていいです?」

耳元に落とされる、低音。
拒絶する理由なんて、ない。
無言を肯定と捉えたバーニィが、身体を下へとずらす。
すでに蜜が溢れかえったそこを這う舌の動きに、腰が跳ねた。

「や、ぁ…っ、バーニ、」

持ち前の器用さをここぞとばかりに発揮して、バーニィは私を追い詰めていく。

「1度、イって下さい」

吐息が、敏感になったそこにかかる。
それだけで、頭の片隅がスパークするような感覚。
ぐりぐりと舌が入り込んできて、弱い所を刺激された。

「ひ、あぁっ、イっちゃ、ぁ…っ」

それ以上は、白い波に飲み込まれて消えた。

荒い息を整えるように、シーツに頬を押し付ける。
だがバーニィは、ゆっくり休む暇など当然与えてくれなかった。
ひょい、と腰を持ち上げられ、気がつけばうつ伏せ。
腰に回された大きな手は、熱を孕んで汗ばんでいた。

「ちょ、っと待って、バーニ…っ、あ…っ」

制止の声など、まるで届かない。
一瞬にして埋め込まれた、熱量。
その熱さと大きさに、身体が震える。

「…く、ナマエ…っ」

背後から降ってくる声は、ひどく苦しげだった。

「ひぁ…ん、ぁあっ」

手加減なく攻めたてられ揺さぶられ、脳が思考を放棄する。
ただひとつ、絶頂に向かって一目散に駆け上がる熱。
ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てる繋がりに、もっと深くと腰が揺れた。

「…ナマエ、駄目で、す…っ」

荒い呼吸が首筋を掠める。

「いっしょ、に…ん、ぁ…っ」

深く奥まで穿たれる。
身体中がバーニィを感じて歓喜する。

「…ひ、イく…っ、やぁ、あ…バーニ、いっ」

一際激しく揺さぶられ、弾け飛んだ。

「あ…、ナマエっ…くぅ…っ」

一瞬遅れて、バーニィが力尽きる。

広がった熱に身体を支配され、2人でベッドに沈み込んだ。
2人分の荒い息が、重なって溶ける。
意識まで溶けていきそうで、だがその前にと私はバーニィに手を伸ばした。

「…ナマエ?」

不思議そうに首を傾げるバーニィを、ほとんど力の入らない腕で抱きしめる。

「誕生日、おめでとう」


甘い綿雲のような世界に落ちる前に最後に見たのは、バーニィの蕩けるような笑顔だった。




集めた欠片はやがて
- 幸せを描く -



あとがき

ユイカ様
初めまして、城里です。
この度は、企画へのご参加ありがとうございました(^^)
作品の続編をリクエストして頂けるというのは、書き手にとってとてもとても幸せなことだと私は思います。
「君が失った全てのもの」の続編、リクエストありがとうございました。いかがでしたでしょうか。
そのままヒロイン主導でいこうかとも思いましたが、結局兎さんリードの形で書かせて頂きました。
お楽しみ頂ければ幸いです。







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