*ボツネタ集 途中まで書いてボツになったネタです、続きは期待しないで下さい。もし万が一続きが気になるネタがありましたら、こっそり教えて下さい。 名前変換機能なし、名前はデフォルト、もしくは変換タグのままです。 |
▼ K/伏見 その女に初めて会った時、馬鹿がもう一人、と伏見は内心で唾棄した。 よろしくね、などと言って差し出された右手を取るなんて選択肢は当然なく、舌打ちをその返答とした。 女はその態度に不快感や戸惑いを見せることなく苦笑し、余計に伏見を苛立たせた。 第一印象は最悪だ。 そもそも伏見にとって、第一印象に好感を持つ相手など存在しない。 それは、身勝手を極めた生物学上の遺伝子提供者二人の影響なのか、身に付いてしまった優秀さのせいなのか。 他人と馴れ合うなんて虫唾が走ると、伏見は目の前に差し出される手を拒み続けて生きてきた。 例外が、一つだけあった。 一人、たったの一人だけ、伏見がその手を取った相手がいた。 伏見からすると、それは信じられないほど馬鹿で単純な男だったが、それが幸いしたのかもしれない。 そして、それが仇ともなった。 奔流に流されるかのように伏見はその男に巻き込まれ、そして唐突に失った。 2015/05/10 02:39 |
▼ K/宗像 ピピピピピ、とタンマツに設定しておいた無機質なアラームに起こされ、ユアの意識は眠りから覚めた。 目を閉じたまま枕元を弄り、目当てのものを引き寄せる。 液晶をスワイプし、耳障りな音を止めた。 セプター4の女子寮は、男子寮に比べて各部屋の設備がかなり充実している。 全室に個別空調設備があり、狭いながらもシャワールームと簡易キッチンが完備されている。 ユアに充てがわれた部屋も例に漏れずだ。 男子寮が基本的に二人一部屋なのに対し、女子寮は一人に一部屋が与えられている。 理由は単純で、入寮者が女子の方が圧倒的に少ないからだ。 セプター4では、実戦部隊の隊員にのみ、入寮を推奨している。 それ以外の隊員、つまり事務職の隊員も入寮は可能だが、好き好んで寮生活をする女性は少ない。 つまるところ、現時点で青雲寮で生活をしているのは淡島とユアのみ、ということだ。 ベッドから這い出して顔を洗い、髪を梳かす。 淡島は毎日きちんと化粧をしているが、ユアはしない。 特に何も言われないので、それでいいのだと思っている。 クローゼットから制服一式を引っ張り出し、ベッドに放り投げた。 手始めに、ワイシャツに袖を通す。 ちなみに制服を着る前に脱ぐものがないのは、元々ユアが眠る時に下着以外を身に付けていないからだ。 ボタンを下から順にはめていき、上三つを残して手を止める。 次に細身のスラックスと靴下を履く。 そして上着を羽織る。 最後に剣帯を巻いて、そこにサーベルを佩く。 ユアは窮屈な制服の中で小さく伸びをし、ドアに向かって歩き出した。 行きがけに、デスクの上からタンマツとタブレットを回収する。 タンマツは胸元に仕舞い、タブレットは小脇に抱えた。 ドアの前でブーツに足を突っ込み、部屋を出る。 背後でドアの鍵が自動で閉まる音を聞きながら、ユアは屯所の本棟に向け足を進めた。 朝の屯所は比較的静かで、事件の匂いを感じさせない。 今日一日がそのまま静かに過ぎていけばいいのに、と思いながら、ユアは情報室のドアを開けた。 古い洋館のような内装に反し、並ぶのは最先端の情報機器。 どれも、ユアが宗像に言って揃えさせたものだ。 「おはよう、城里」 ドアの開閉音に気付いた淡島が、振り返る。 ユアはいつもの席に腰を下ろし、両足を上げて椅子の上に乗せた。 タブレットをテーブルの上に置き、目の前のPCを起動させる。 2015/04/11 20:51 |
▼ 薄桜鬼/斎藤 「ごめん、間に合いそうにない」 回線の向こうから聞こえた言葉に、少しだけ落胆した。 だが、それを悟られるわけにはいかなかった。 故に一言、承知した、とだけ返した。 その時の俺の心境を、察していたのか否か。 2015/01/07 12:41 |
▼ 薄桜鬼/斎藤 少し、懐かしい夢を見た。 まだ、彼女が俺の上司だった頃のことだ。 掴み所がなく、飄々としていた。 気紛れで、気分屋で、人懐こいように見えて警戒心が強い。 まるで、猫みたいな人だった。 2015/01/07 12:41 |
▼ 薄桜鬼/斎藤 元旦とは、めでたい日だという。 一月一日、新年の始まり。 幼き頃から、縁起の良い日に産まれたと言われ続けてきた。 誰が意図したわけでもない。 母がこの日を選んで出産したわけではないし、ましてや俺が決めたわけでもない。 偶然の産物だ。 2015/01/07 12:41 |