「 2 」
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昨日私は、学校終わったら直接塾行って、ようやく帰宅したのが午後10時過ぎだった。
高校3年生という時分で、いわゆる受験戦争とやらに巻き込まれていた。一応進学校に通っているので、勉強するのが当たり前、という空気だった。季節が夏になってきてから周りもガチになってきて、来る日も来る日も勉強勉強、土日は模試で潰れて…と。やっとおとずれた夏休みだって、塾の夏期講習で丸潰れだ。受験生に休日はない。いつしか友だちとの関係もギスギスしてきた。「たまには息抜きも必要だよ!」と漫画を渡したら「そんなの読んでる暇ないの!」と突っ返されたりして。
こんなんだから、私はますます現実逃避先として漫画の世界を求めた。現実世界(受験戦争)に楽しさが無いから、心の休まる場所としてその別世界を求めた。現実逃避として他のことも試してみたけど、やっぱり漫画が一番だった。
私は、帰宅し、自室に戻ると、母によって、その自室に外から鍵をかけられる。お勉強をしなさい、とのことだ。まるで牢獄のようだった。こっそり書店で買ってきたNARUTOのコミックをバッグから出して、突然ドアを開けられても絶対にバレないように、こっそりと読む。読み終わると、鍵付きの引き出しに仕舞う。読み終わっちゃった。物足りない。もっとナルトの世界に触れていたい。そして、ケータイを開き、「ナルト」で検索してみた。
これが、私の、いわゆる二次創作サイトとの出会いだった。
そこで、同時に、私はスレナルを知った。
ツボだった。
なんでこんなにハマったのか分からない。なんでこんなに好きになったのか説明できない。でも、もういっそ一生を捧げてしまいそうな勢いでハマってしまった。好き過ぎて、いつでもどこでも妄想するようになった。授業中だろうがご飯を食べている間だろうが。灰色だった世界が一気に彩りを取り戻したようだった。
「まあ、そんなんだから、現実世界から見放されてしまったのかな。スーパー勝ち組だろ私…」
ぼそりとそう呟いた私は、今、
イルカ先生の後をついて歩いている最中だ。
なんでこうなったのかはあとで説明します。ちょっと色々あったんです。
取り敢えず、私は、アカデミーにいます。もうちょっと詳しく言うと、廊下。教室に向かって歩いています。
歩きながら、イルカ先生が首だけ振り返り、人のよさそうな笑みを私に向けてくる。
「まあ、いいやつばっかりだから、すぐに慣れるさ」
「…はい…」
「術の才能もあるみたいだし」
「いや…あれは私じゃ…」
「ほら、着いたぞ」
ついに扉の前に着いた。
私は、編入生、という形で皆に紹介される。
緊張しまくっているが、それよりも、正直、楽しみで仕方がない。
私の予想では、この時期のアカデミーに入れるということは、つまり、主要キャラの子たちとたくさん絡めるってことだ…
しかし…あまりに事態がうまく行き過ぎていて、逆に不安になってきた…話がウマすぎる…
でも、そんな懸念も、ドアを開けた瞬間、どうでもよくなった。
うわあああああああああああああ
たくさんの視線が私に集まっていた。
みんな、変な時期の転入生ということで、わくわくしていたに違いない。いや、なんかごめんねこんな糞腐女子で…ミステリアスな美少女とかじゃなくてスマン
既に私の表情筋は崩壊していた。
漫画の中での見知った顔ばかりで、あまりにも嬉しくて、私の表情筋は機能を停止しており、だらしなく伸びた不気味な顔で周りを見渡していた。煩悩に染まった犯罪者のような顔で皆の顔を舐め回すように眺める。結構ドン引きしていると思われる面々もすでにいる。サクラ、いの、シカマル、サスケ…うわあああああああああああ!!!!!!!生きててよかったアッー!!!
しかし。探しているが、ナルトがいない。おかしいな、もう卒業した後か? いや、そんなはずはない…。
イルカ先生は、変わらぬ明るい声で話す。
「さあ、楓。みんなに自己紹介してくれ」
「あ、はい、グヘヘ、私の名前は結城楓です。皆と仲良くしたいと激しく思っております…どうぞよろしくお願いします」
少ししてから、おざなりな拍手が教室から沸いた。あんまりヤル気なさそうな感じだ。もちろん、その拍手もすぐに止まった。
イルカ先生が私の肩を軽く叩いた。
「さあ、楓の席はどうしようかな…どこが空いてるかな?」
一気に皆が目を逸らした。あー、うん、まあ、誰もこんな変態丸出しの不審者とは一緒に座りたくないですよね分かります。
その瞬間。
「遅刻だってばよー!」
とても聞き慣れた声が、廊下から響いてきた。
昨日私は、学校終わったら直接塾行って、ようやく帰宅したのが午後10時過ぎだった。
高校3年生という時分で、いわゆる受験戦争とやらに巻き込まれていた。一応進学校に通っているので、勉強するのが当たり前、という空気だった。季節が夏になってきてから周りもガチになってきて、来る日も来る日も勉強勉強、土日は模試で潰れて…と。やっとおとずれた夏休みだって、塾の夏期講習で丸潰れだ。受験生に休日はない。いつしか友だちとの関係もギスギスしてきた。「たまには息抜きも必要だよ!」と漫画を渡したら「そんなの読んでる暇ないの!」と突っ返されたりして。
こんなんだから、私はますます現実逃避先として漫画の世界を求めた。現実世界(受験戦争)に楽しさが無いから、心の休まる場所としてその別世界を求めた。現実逃避として他のことも試してみたけど、やっぱり漫画が一番だった。
私は、帰宅し、自室に戻ると、母によって、その自室に外から鍵をかけられる。お勉強をしなさい、とのことだ。まるで牢獄のようだった。こっそり書店で買ってきたNARUTOのコミックをバッグから出して、突然ドアを開けられても絶対にバレないように、こっそりと読む。読み終わると、鍵付きの引き出しに仕舞う。読み終わっちゃった。物足りない。もっとナルトの世界に触れていたい。そして、ケータイを開き、「ナルト」で検索してみた。
これが、私の、いわゆる二次創作サイトとの出会いだった。
そこで、同時に、私はスレナルを知った。
ツボだった。
なんでこんなにハマったのか分からない。なんでこんなに好きになったのか説明できない。でも、もういっそ一生を捧げてしまいそうな勢いでハマってしまった。好き過ぎて、いつでもどこでも妄想するようになった。授業中だろうがご飯を食べている間だろうが。灰色だった世界が一気に彩りを取り戻したようだった。
「まあ、そんなんだから、現実世界から見放されてしまったのかな。スーパー勝ち組だろ私…」
ぼそりとそう呟いた私は、今、
イルカ先生の後をついて歩いている最中だ。
なんでこうなったのかはあとで説明します。ちょっと色々あったんです。
取り敢えず、私は、アカデミーにいます。もうちょっと詳しく言うと、廊下。教室に向かって歩いています。
歩きながら、イルカ先生が首だけ振り返り、人のよさそうな笑みを私に向けてくる。
「まあ、いいやつばっかりだから、すぐに慣れるさ」
「…はい…」
「術の才能もあるみたいだし」
「いや…あれは私じゃ…」
「ほら、着いたぞ」
ついに扉の前に着いた。
私は、編入生、という形で皆に紹介される。
緊張しまくっているが、それよりも、正直、楽しみで仕方がない。
私の予想では、この時期のアカデミーに入れるということは、つまり、主要キャラの子たちとたくさん絡めるってことだ…
しかし…あまりに事態がうまく行き過ぎていて、逆に不安になってきた…話がウマすぎる…
でも、そんな懸念も、ドアを開けた瞬間、どうでもよくなった。
うわあああああああああああああ
たくさんの視線が私に集まっていた。
みんな、変な時期の転入生ということで、わくわくしていたに違いない。いや、なんかごめんねこんな糞腐女子で…ミステリアスな美少女とかじゃなくてスマン
既に私の表情筋は崩壊していた。
漫画の中での見知った顔ばかりで、あまりにも嬉しくて、私の表情筋は機能を停止しており、だらしなく伸びた不気味な顔で周りを見渡していた。煩悩に染まった犯罪者のような顔で皆の顔を舐め回すように眺める。結構ドン引きしていると思われる面々もすでにいる。サクラ、いの、シカマル、サスケ…うわあああああああああああ!!!!!!!生きててよかったアッー!!!
しかし。探しているが、ナルトがいない。おかしいな、もう卒業した後か? いや、そんなはずはない…。
イルカ先生は、変わらぬ明るい声で話す。
「さあ、楓。みんなに自己紹介してくれ」
「あ、はい、グヘヘ、私の名前は結城楓です。皆と仲良くしたいと激しく思っております…どうぞよろしくお願いします」
少ししてから、おざなりな拍手が教室から沸いた。あんまりヤル気なさそうな感じだ。もちろん、その拍手もすぐに止まった。
イルカ先生が私の肩を軽く叩いた。
「さあ、楓の席はどうしようかな…どこが空いてるかな?」
一気に皆が目を逸らした。あー、うん、まあ、誰もこんな変態丸出しの不審者とは一緒に座りたくないですよね分かります。
その瞬間。
「遅刻だってばよー!」
とても聞き慣れた声が、廊下から響いてきた。
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