一周年記念 その十四
何時だって僕の関係のない所で運命付けられる。
クロノスでの生活も。
NO6での暮らしも。
突然、僕の手からすり抜けた。
理不尽で身勝手な理由で。
でもね、なくしたことを後悔している訳じゃないんだ。
ふとネズミが僕の顔を覗き込んだ。
美しい灰色の瞳と視線が絡む。
僕はそっと君に抱きついた。
「温かい」
「………そうか」
「温かいね」
ネズミはただ言葉少なに応えた。
分け合った体温は酷く心地良い。
こんな気持ちをどう表現すれば良いのか分からない。
悲哀?
懇願?
恐怖?
祈り?
空虚?
自分の中の数値化出来ないものをどうしたら君に伝えられるんだろう。
もどかしい。
A
l
l
t
h
i
n
g
s
a
r
e
o
n
l
y
t
r
a
n
s
i
t
o
r
y
全
て
の
も
の
は
泡
沫
に
過
ぎ
な
い
この世界はとても儚い。
だから望むんだ。
明日も変わらず、隣に君がいることを。
下書き 110827
掲 載 110827
再掲載 111218
「#寸止め」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -