一周年記念 その七




「本当に、ごめん!」

「…………」

「ごめん」


青い瞳をした青年___工藤新一は冷ややかに土下座している相手を見下ろした。

新一と双子のように似通った男___黒羽快斗は、内心冷や汗たらたらだった。

机の上には新品のカバーに包まれた本が茶色く変色してしまっている。

本に挟まれた栞は半分もいっていない。


「『ごめん』で済むなら、警察はいらねぇ」

「ちょっ!ごめんってばーーーー!!」


新一の鋭い蹴りが飛ぶが、対する快斗はそれをひらりひらりと躱していく。

新一が本当に楽しみにしていた、数年ぶりの新刊。

そのために新一の機嫌はいつもより良く、快斗にいつもより構ってくれる。

そんな良い日だった。


「夕飯は新一の好きな物にするし、デザートにレモンパイをつけるから!

 それにその新刊も今すぐ買いに行くからね?

 ね?!」

「………………ハァ、早く買いに行けよ」

「うん!!」





One cannot put back the clock




「次やったら、魚喰わす…………」

「!!!!?????!?!?!

 し、しんいちクン、それは御勘弁下さい……ッ!」

「フン」



下書き 110816
掲 載 110817
再掲載 111218
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