一周年記念 その四
「確かに、幸せなのかもしれません」
日本はイギリスに淡く微笑んだ。
射し込む光は優しく、心地よい風が過ぎた。
縁側に隣り合って腰を下ろしたイギリスはただじっと日本を見つめて次の言葉を待った。
「多くの血が流れ、喪った命に涙をしたのは一度や二度ではありません。
イギリスさんも、そうでしょう」
「…………そうだな」
国民を愛おしく想うのは国として本能なのかもしれない。
彼らの命が喪われれば悲しい。
それが知人や友人ならその痛みはもっと辛い。
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歴
史
の
な
い
国
は
幸
せ
で
あ
る
「それでも、忘れたくないんですよね」
「忘れられる訳がないな」
そっと日本の手を握った。
日本はイギリスの方を少し驚いた様子で見た。
握った手にそっと唇を落とした。
「日本を、菊を、忘れるのは惜しい」
「…………イギリスさんのばか」
やがて二人の影が一つになった。
下書き 110813
掲 載 110814
再掲載 111218
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