「………良いのか?」
「ありがとう、リボーン」
漆黒の深い森の中、二人の青年が向かい合う形で立っていた。
一人は薄色の柔らかな髪をした男___ボンゴレファミリー十代目だった沢田綱吉。
もう一人は漆黒の最強のアルコバレーノのヒットマン・リボーンその人だった。
綱吉の服は拠れて、煤汚れ血で滲んでいた。
全てを終わらせたのだ。
もう、ボンゴレは何処にもない。
「死ぬなら、リボーンに殺されたいから」
そう言ってあどけない笑みを浮かべた。
その瞳は悲哀も未練もない。
あるのはただ、安堵。
漆黒の死神は帽子を目深に被り直した。
「ツナ」
胸元を掴み引き寄せ、唇に噛みついた。
綱吉は荒々しい口付けに驚いたものの応えるように絡める。
愛人の数故の経験豊富さに負けたのか、綱吉の腰が砕けた。
「(良い夢を)」
紫煙が銃口から溢れて溶けた。
リボーンは嘗ての教え子の瞳を閉じさせる。
そして誰も居なくなった。
自作お題:coccoで10題(カウントダウン)より
110730 下書き
110928 掲載