「どうして、貴方だったんでしょう」
日本はそう呟いた。
誰にも応えを求めない音は直ぐに拡散した。
イギリスはただ日本の背中を見ていた。
声など掛けられる訳がなかった。
いや、誰からの言葉をその背中は拒絶している。
「どうして、貴方だったんでしょう」
要領の得ない問いが再び唇から零れた。
漆黒の深い瞳がイギリスを映した。
イギリスには無いその色は、時に優しく笑い、時に哀し気に揺れた。
今は、そう、虚ろ。
日本の言の葉は、怨むような憎むような、そんな声だった。
「どうして、貴方だったんでしょう」
答えなんて何処にもなかった
同盟という絆は崩れ
今や貴方と私は敵同士
でも
どうしてこんなにも
貴方だけを
愛しく想うのでしょう
自作お題:coccoで10題(way out)より
110730