久しぶりの共通の休暇。
日本とイギリスは二人で甘やかな時間を過ごそうとした矢先であった。
「イギリスさん、お茶にしませんか?」
「いいぞ。俺が紅茶を入れる」
「はい、よろしくお願いします」
「別に俺がいれたかっただけだ」
なんて恋人らしいやりとりにイギリスが幸せを噛みしめていた時だった。
ピンポーン
電子音が甘い雰囲気をぶち壊した。
「宅配便か?」
「いえ、そんなはずは………」
イギリスの質問に、日本は予定外の宅配であることが伺い知れた。
「何かの勧誘とかだと思いますんで、居留守使いましょう」
「!あぁ、わかった」
少しでも一緒にいたいイギリスはすごく嬉しげに笑う。
なんとも分かりやすい。
ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン
「……………日本の勧誘はこんなにしつこくやるのか?」
「………………やらないでしょうね」
このしつこさに二人ともなんとも言えない以心伝心を可能にした。
なぁ、これって………
………嫌な予感しかしませんね
一番に思い浮かべたのは、イギリスの弟(仮)の空気読みやがれ男とか、
日本の兄を語る、某国とか。
「窓も玄関も戸締まりしてあるので、大丈夫だと思います」
「何でこんな時に来るんだよ!」
「無視です。無視しましょう!」
ドンドン!ドンドン!
招かれざる客は今度は扉を叩きはじめた。
ここで出たら負け、ここで出たら負け、と心の中で呟きながらすぎること五分。
ようやくノックがやんだ。
「やっと静かになりました」
「まったく、迷惑なヤツだ」
そうですね、と返事を返し、日本は何気なく目を庭に向けた。
夜色の瞳が見開かれた。
「どうしたんだ、にほ…………」
イギリスの科白が途切れた。
目の前にいたのはガラス戸に張りついた、アメリカ。
誰か110を!!!
変質者が庭にいます!
二三分ほど原状を維持したものの、このままにはできない。
泣く泣く日本はアメリカを入れてあげることにした。
ノロノロと鍵を開ければ、間をあけずに上がりこんだ。
「HAHAHAHA!日本!遊びに来てあげたよ!」
「…………………………今、イギリスさんをお招きしているのですが……」
注訳:このスットコドッコイ
何招いていないのに湧いて出てきてるんだよ
失せろや、イギリスさんとラブラブ中なのにくんじゃねぇ
「HAHAHAHA!見ればわかるぞ★」
「アメリカ、日本に迷惑かけるな。遠慮って言葉を憶えて、行動しろ(俺達のためにも)」
「遠慮?何それ美味しいの?」
「………………」
「………………」
高らかに笑うアメリカ。
そして、黙りこむ二人。
これからもアメリカの迷惑に巻き込まれていくに違いない。
二人に少しでも幸福な日が多からんことを。
オワレ
091110 下書き
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