此処には何もないんだ
真っ白なセカイ
真っ黒なセカイ
とても寂しいセカイ
何にもない
俺は本当に”ココ”にいますか?
狂わす程の白に抱かれた俺は
ダレ?
ここは蝕む闇のセカイ
何もナイ
全てどーでもいい・・・・・
狂わす程の孤独に抱かれ俺は
静かに狂った
抱(いだ)くって読んで欲しき
080122
アノ人は里人の意見を聞き入れて一つのセカイを創った
そう、それが狂う程の白いセカイ
異端な俺
白しかなかったセカイに黒が落ちた
それはとてもキレイ
□■□
理由なんてなかった
ただなんとなく逢いたかった
そして言葉を交じわしたかった
そう、それだけ
□■□
「俺は奈良シカマル」
「・・・ナラ シ カマ ル?」
金髪の少年は向かい合うように立つ少年の名前を復唱した
出会いはそれだけ
でも、確かにミツケタ
080122
それが何なのか俺にはわからない
でも、あのキレイな人が来るとあたたかく感じるのだ
たとえ、このセカイが 真っ白でも
□■□
言葉なんて必要なかった
ただ、ともにいられればいい
「ナル?どうした」
「別に何にも」
「・・・そうか」
となりにいるとあったかかくて
寄り添うように座った
背に寄りかかって、深く眠る
ずっとこのままがいい
080122
シカがいなくなるなんて思わなかった
あの時間がどこまでも”エイエン”だと思ってた
いたい いたい いたいいたい
あいたい
□■□
いつもと違っていた
シカが来ない
なんだか嫌な感じがした
世話係という名の暗殺者がやってきた
手には何か荷物を持っていた
にやにやと気持ち悪い笑みを浮かべている
荷物を俺の方に放った
シカだった
そいつらはいやらしい顔で嘲笑った
「狐が人の子供をたぶらかしやがって」
「化け物が」
「たぶらかされたこのガキは死んで当たり前」
「馬鹿だなこんな奴に会わなければ良かったのに」
「おまえはそろそろ死ねばいいのに」
そんなことを言っていたと思う
でも、そんなことよりも
床に倒れているシカに意識が向いてしまう
そいつらはワラいながらシカの体を踏みつけた
シカの体がぶるりと痙攣した
体が燃えるように熱くなった
思考なんて出来ないほど
頭の中は白く白く塗りつぶされた
許サナイ
「あははは、っははははははは」
「血が出たぜぇ」
次の瞬間には暗殺者たちの首が弧を描いて飛んだ
血飛沫がこの白いセカイに不快な赤を落とした
ここには肉塊と俺とシカしかいない
「シカ・・・・」
「・・・っな・・・・る・・・・・」
掠れた声で俺の名を呼んだ
低体温なシカだけれども、それよりもずっと冷たい
命の灯火が消えかけている事実を俺に告げた
だってシカの手はぞっとするほど冷たい
「・・・ご・・・・め・・ん・・・・」
シカの手から力が抜けてゆっくりと地に落ちた
「ぁ・・・、あ、ぁあああああああああああぁぁぁぁぁぁあああああああああ」
080124
苦しくて苦しくて苦しくて
胸が痛くて痛くて痛くて
酷く悲しかった
木の葉の里は再びアカイアカイ炎に包まれた
生存者は一人もいない
ここには俺とシカだけ
そっとシカの冷たくなった体を抱き上げる
深い深い森の奥へ
誰も誰もいないところへ
□■□
箱庭を壊したのあんた達
シカに手を手を出さなければ生きていられたのに
□■□
深い深い森の奥の少しばかり開けた場所で立ち止まった
ぎゅっとシカの体を抱きしめた
そして包むように蒼い炎が俺たちを焼いた
一人じゃ、独りじゃ
サビシイカラ
俺も共に眠ろう
□■□
これはある悲しき狐の物語
ゆく先はどこへやら
誰も知らぬ
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