例えば、その屈託ない笑顔
例えば、その危なっかしい姿
例えば、その無邪気な声
何時だって、救われてきた
………絶対に本人には言わないけど
01オンブ 独伊風味
「ヴェ〜」
「こら、イタリア。あんまりフラフラするな」
あっちへちょろちょろ、
こっちでちょろちょろ。
相変わらず落ち着きのない奴だな。
「ヴェっ!?」
けたたましい音共に、地面にキスをする。
…………今、顔からいったよな?
「おい!大丈夫か!」
「痛いよ〜」
涙目で俺を見上げた。
足を捻ったらしい。
………はぁ、仕方のないやつだ。
「ほら」
「ヴェ?」
「おんぶしてやるから早く乗れ」
泣きそうな顔が嬉しそうな顔に変わる。
相変わらずな奴だ。
「ありがと〜ドイツ〜」
同じ男と考えるならば、体重の軽い奴である。
後ろから発される謎な奇声を聞きつつ、夕方の光を浴びて進む。
人通りがほとんど無い。
「ね〜ドイツ」
「何だ?」
背中の体温を感じながら、いつもより少し丁寧に歩く。
「ドイツの背中、おっきいね」
「はぁ?」
支離滅列な話のふり方。
わけわからん。
「だからね〜いつも守ってくれて、優しくしてくれてありがと〜」
「なぜ、だからに繋がるんだ」
何で背中とありがとうなんだよ。
「ん〜、戦争が終ってからもね、仲良くしてくれて嬉しいんだ。ヴェ〜」
恥じかしいことをこんなにも率直に言えるこいつは、すごいと思う。
絶対言わないけど。
「だから………ほっとけないんだよな」
「ん〜〜?何か言った〜?」
「……別に、何も言ってない」
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