十代のネオスの攻撃が通り、ヨハンの最後のライフを削った。
十代の勝利である。
ヨハンとのデュエルが終わり、真剣な表情からいつもの人懐っこい笑顔に戻る。
その変化に思わず遊戯は微笑んだ。
「遊戯さん!来てたんですか!?」
「うん、昨日ヨハン君とやるって言ってたから、見に来ちゃった」
「どうでした!!?」
「見ててすっごく楽しかったよ」
実力が拮抗している二人のデュエルは一進一退の攻防や策略に、同じデュエリストとして心踊らぬ訳がない。
それとは別にきらきらと瞳を輝かせて遊戯へ寄ってくる十代は、なんというか、ワンコである。
ワンコだったら、尻尾を勢いよく左右にちぎらんとばかりに振っているに違いない。
褒めて、褒めて!とそんな声無き声が聞こえる。
「うん、がんばったね」
頭を撫でる。
十代は嬉しそうに目を細めた。
最初に会ってから随分と成長した十代は遊戯よりも背が高い。
「遊戯さん〜?十代〜?」
「ほら、ヨハン君が呼んでるから行こう?」
「はい!」
遠くからヨハンが二人を呼んでいる。
指を絡ませながら声の方に歩み出す前に、遊戯の耳元に十代は顔を寄せた。
「頑張ったら、また褒めて下さいね?」
艶やかに十代が笑い、遊戯の唇を奪った。
おねだりされなくても、十代にしてあげたいと思う。
それはこの年下の恋人に弱いからなんだよなぁ、と遊戯は内心零した。
恋人に「してあげる」10題
1.なでなで
配布元:TOY様