願わくば止まってしまえ
愛があればそれでOK。
なんていうのはきっと夢物語しか存在しないルールだ。
お金がなくても、誰に蔑まれようとも大丈夫、そんなものはありえないのだ。
確かに今はお互いを好きで好きでどうしようもないがそれが未来永劫、とまではいかないが俺達が大人になるまで続くかなんて分からない。むしろ続いている方が奇跡だろう。(だって俺達は男同士だしね)
やっぱり物語の最初と最後のように。どんな心弾ませる冒険だって終わりはくる。それは物語だけじゃなくて恋だって同じだ。
きっと信じられないぐらいに冷めて捨てて、なかったようにまた他の誰かとそれを繰り返すのだろう。
ああ、なんて寂しい。彼は俺を簡単に忘れちゃうの?なんて。
(少し、…馬鹿馬鹿しい。かな)
自嘲気味に笑って整理していらなくなった紙をごみ袋に捨てた。きっと俺もこの紙みたいに呆気なく捨てられるんだろう。
前にも後にもこれに未来はなくて、きっと彼に捨てられた俺にも未来はない。
(……俺はきっと恋のサイクルに戻れないだろうなあ)
彼に対しての愛を疑うくせに彼以外を愛すことはないなんて。なんとも矛盾した話しだ。
「ヒロト。これ捨てていいか?」
「…うん、大丈夫。ありがとうね、手伝って貰っちゃって」
「べ、別に俺が好きでやってるからいいんだよ!」
真っ赤になった幼なじみの恋人が好きで堪らなかった。
でもこれも一時の俺らの気まぐれ。
(嫌だな。晴矢の笑顔が見れないなんて)
続かないレールの先を望んでる。
(この瞬間が永遠になればいいのに)
なんて。
レールが音を立てて壊れた。
明るい未来をおくれ。