小説 1

二月六日

今日は俺、山崎退の誕生日。

一ヶ月前から屯所中に‘二月六日山崎退誕生日’と書いた紙を貼りまくった甲斐があったのか誰一人今日の事を忘れてはいなかった。去年とは大違いだ。


みんなからそれぞれプレゼントをもらった。

まず、局長からはミントンのラケットとシャトル、それからお妙さんが働く店の割引券をもらった。

…この券ドンペリ限定って書いてあるんだけど…しかも100円引き?スーパーの福引きの残念賞か?
明日までの期限のようだけど行かなくてもボコられるのは局長だ。放っておこう。


次は副長。年の数だけマヨネーズをもらった。節分か?俺の誕生日は節分か?つかこの要領だと毎年増えていくんじゃね?…と、思ったが俺らは年を取らない。

サザエさん方式のこの漫画に深く感謝した。


沖田さんからはSMグッズ。「土方さんは絶対Mだから」って。いや、それって俺にSになれって事?副長とSMプレイをしろって事?

沖田さんは俺に死んでほしいと思っているのだろうか。きっといつもの天然なんだろう。そうなんだろう。


永倉さんからは家事に役立つ便利アイテム数点。
…確かに地味に嬉しいが。何だろう、何か引っかかる。165センチと言い張るこの人と俺の身長差が見た目からして明らかに4センチではない事には及ばないが、心の奥底に何かが引っかかった。


藤堂さんからはエロ本数冊、エロビデオ数本。…オイ。
でも中身の内容は俺的にストライクだった。趣味分かってらっしゃる。


斉藤さんからは仕事道具。一つ一つ事細かく説明してくれた。
普通すぎて突っ込めない。


篠原からは一冊のノート。中身は如何に伊東先生が副長より優れているかが長々と書かれてあった。
…フッ、後で赤ペンで直して枕元に置いといてやろう。


他にも酒やら本やらたくさんもらった。

物はどうであれ、祝いの言葉が一番嬉しいな。その気持ちはプライスレス!



「おぉーい!山崎ぃ!!行くぞー!!」

原田が呼んでいる。
今日は久々に二人で呑みに行く約束をしていた。
もちろん原田のおごり。


「あいよー!!」

立ち上がりみんなからのプレゼントの方を向く。
そして顔の前で手を合わせ拝むように「ありがとう」と言って一礼をし部屋を出た。




ザキおめでとー


戻る

- ナノ -