痕跡

それは甘い痕跡

「あっ拓磨・・・!」
「ん・・・」
「何して、ひゃっ」

珠紀の部屋。
後ろに座っていた拓磨に抱きしめられたと思ったらそのまま首筋に顔を埋められる珠紀。
いきなりの行動に嬉しさ半分と恥ずかしさ半分。複雑な心境になっていた。

「拓磨ってば!」

同じところを何度もキツく吸われチリッとした軽い痛みがはしる。
ハァ。とした息遣いと首筋に触れる吐息かこそばゆくて珠紀の身体が震えた。

「たく、ま」
「無理だ」
「え・・・?」

やっと言葉を紡いだと思えば無理の一言。珠紀は不思議そうな顔をした。

「お前に触れたくて仕方ない。抑えられない」
「!」

いつもはこんな事言ってこない。恥ずかしがって言わないのに。

「珠紀・・・」
「・・・っ」

なんでだろう。

「拓磨・・・」
「好きだ珠紀・・・」
「うん・・・私も・・・」

すごく、嬉しい。

「好きだ、好き」
「大好き拓磨・・・」

拓磨が先程より強く珠紀を抱きしめた。
鼓動が聞こえてくる、体温が伝わってくる。
それだけなのに

「幸せ・・・」
「・・・・ん」

拓磨は珠紀を自分の方に向かせてもう一度抱きしめた。
珠紀は嬉しそうに笑って拓磨の胸板に手を当てた。
拓磨の鼓動が先程よりも聞こえてくる。

「拓磨すっごいドキドキ言ってる・・・」
「言うなバカ」

珠紀は笑うと拓磨の顔を見ようと顔を上げる。
すると唇に拓磨のそれが重なった。

「ん・・・」

軽く何度も重なれらそのくちづけはだんだん深いものへと変わる。

「ふぁ・・・ん、ぁ」

拓磨は珠紀の頭を片方の手で抑えて更に深くなるように舌を絡ませる。

「ん、んん・・・!」

珠紀は力が抜けて拓磨に身を任せる。
それがわかっているのか拓磨は抱きしめている力を強くしてより身体を密着させる。

「は・・・珠紀・・・っ」

息継ぎをしては深いくちづけをする。

「た・・・んっぁ」

そのまま倒れるように珠紀の身体が畳に押し付けられる。上から拓磨が被さり、また深いくちづけの繰り返し。

「いいか、珠紀・・・」
「ふ・・・」

色っぽい息遣いで耳元で囁かれ珠紀は顔をほんのり赤くして声を洩らした。
拓磨はそれに反応して珠紀の耳を舌で舐めて甘噛みする。

「ひゃぁ!・・・んっ」

ビクリと珠紀の身体は跳ねた。
その声に拓磨はゾクリと身体を震わせる。

「好きだ、珠紀・・・」

拓磨の言葉に珠紀は拓磨の首に手を回しキスをした。
それは合意の合図でもあり、そのまま二人は身体を重ねた。




拓磨は隣で寝ている珠紀を見て幸せそうに笑った。
珠紀の身体のあちこちに拓磨がつけた跡がある。

「たまには甘えるのもあり・・・てか?」

自分で抑えられない。珠紀を見ていると触れたくなって、いつもの自分ならそんな自分を制しただろう。
でもたまにはそんな自分の言うとおりにしてみようと思ったのだ。

「ん・・・・」

寒いのか珠紀が拓磨に擦り寄ってくる。
そんな珠紀が愛しくて拓磨はそっと珠紀の左手薬指に先程していたように跡をつけた。

「予約・・・だな」

起きた珠紀がどんな反応をするか考えながら、それにまた幸せを感じながら珠紀を抱きしめた。

「愛してる珠紀」

そう言って拓磨は再び眠りついた。
珠紀の真っ赤になりながらも幸せそうに笑う顔を想像して。

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