「ただいまー」
「あ、おかえり元親くん」
「おかえりー」
「…何やってんだ政宗は」
「耳かき」
「言い方を変える。なんで菜緒にやってもらってんだ」
「ずっと耳気にしてたから耳かきすれば?って言ったら、」
「わっ、ばか余計な事言うな!」
「余計な事も何もその体勢じゃ言わなくても分かるっつーの。なん、お前耳かき怖ぇの?」
「怖くねえよ。くすぐったいから苦手なだけだ」
「人にしてもらう方が怖いしくすぐったいと思うけどなあ…」
「いいから。菜緒、続き」
「はいはい」
「…ぅくっ」
「……」
「んんっ…!」
「大丈夫、怖くないよー。肩の力抜いてー、よしよし、偉いね」
「……やだなにこの光景。俺いたたまれない」
「え?」
「は?」
「俺も構えー」
「わ!ちょっ、元親くん!肩に顎置かないでくすぐったい!」
「…構えって」
「んんっ…」
「てめ元親まじ離れろ手元狂ったらどうすんだ!」
「菜緒…」
「みみ、だめ、だって…ばあ!もう!元親くん、めっ!」
「だってよぉ」
「後でしてあげるから、ね?」
「やった!約束だぜ!」
「ふふ、もう、おっきい子どもなんだから。ん、腕ちからいれすぎー苦しいよー」
「んー」
「…見えてねえのに何このいたたまれなさ」
他とは違う、だけどこれが日常
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