「う、ぅううう…」

「どうした菜緒」

「おな、…いた…」

「は?おならこいた?」

「違っ!?おなかぁ、いたいのっ!」

「おお、聞き間違えた」

「全く…乙女になんて事言わ…ぁいたたたた…」

「だ、大丈夫か?」

「大丈夫じゃ…ないよう…ゆきぃ、代わってよ〜…」

「無茶を言うな」

「無茶かなあ…」

「無茶だろう」

「そっか…あぃだだだだ…!お腹突き破ってエイリアンを産み落としてしまいそう…ッッ!」

「なんと!?いつの間に地球外生命体の子を孕んだのだ!」

「ごめんねゆき…きっとこの子を産むと同時に私は…」

「皆まで言うな!俺は…俺はお前の命と引き換えに産まれてくる血の繋がらぬこの子を愛せるのか…っ!」

「ゆきなら…私の愛したゆきならきっと大丈夫…この子を、よろしく、ね…」

「菜緒…?菜緒、菜緒ーっ!」

「……」

「……」

「…あいっ、たたた」

「まだ痛むか」

「うん〜…」

「膝へ来い。フローリングに寝てるから冷えるのだ」

「うぃ〜」

「……」

「……」

「…たとえ」

「うん」

「たとえ俺の子でなくとも菜緒が命を懸けて産んだ子ならば、俺は全身全霊を掛けて愛し、守ろう」

「…私は幸村の子以外産む気はないけど…でも、うん、…ふふ、ありがと」

「ああ。で、腹の痛みはどうだ」

「まだ痛い」

「そうか。ならばまだ腕の中におれ」

「あい」


おなかは痛い。でもしあわせ。




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