先輩は 強い


小さな体でちゃきちゃき働いて

俺ですら把握出来ていない部員全員の事をよく見ているし 知っている



先輩は 綺麗

うだるような暑い日も

痺れて動けないような寒い日も

真っ黒に日焼けしたその顔でいっぱいに笑う姿はすごく綺麗



そして 先輩は 弱い

切ない恋の瀬に細い肩を震わせて

瞳を頬を静かに濡らす

先輩の想い人にも想い人がいて

その人を想って先輩は涙を流す



そんな先輩のことを想って

虚しいと知りながら俺も身を焦がすんだ



それでも 先輩は

まっすぐ前を向いていて

そんな弱さを誰にも見せないで

背筋をピンとはって

誰よりも前を向いている



それでも 俺は

その姿さえいじらしくて

いとおしくて


焦れて 焦れて 焦れて


「長太郎?」


背を向けて泣くあなたの小さな身体を腕におさめた。



伝わりますか この鼓動が

伝わりますか この想いが


どうか泣かないで下さい

俺以外の人を想って泣かないで下さい

どうか分からないで下さい

自分勝手なことを考えている俺の心を


あなたはあなたの先だけを見ていて


報われなくてもいい

叶わなくてもいい


ただ、一人で泣かないで下さい

俺を側において下さい


「俺はあなたを護りたいんです」



【強くて弱いあなたを】





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