友達に聞いて、ちょっと試してみたくなっただけだったの。
「あれ、菜緒ちゃんまだ残ってたの?もうさよならする音楽鳴り終わったから帰ろうね」
「らっ、らいぞーせんせえ…」
「ん?どうかした?」
「なんでも、ない…」
「そう…?じゃあ気を付けて帰りなね。また明日」
「さようなら…」
「……今のは?」
「…らいぞー先生、です」
「ふぅん…。あいつには大分気を許しているんだな。…こうすればどうだ」
「!? らっ、らいぞー、せんせえ…?」
「この姿の方が馴染みやすいんだろう?」
ふわふわの耳としっぽ。見たことのないお着物を着て、らいぞー先生と同じ顔をした男の人は、らいぞー先生とは全然違う顔をして笑った。
「あなたはこっくりさんですか?」
「そのつもりで喚び出したんだろう」
「ほんとうに…?」
「信じる信じないはお前次第だ。狐は人を化かしてなんぼだからな」
「んんん…じゃあ信じる」
「おや」
「らいぞー先生はいっぱい悩むけど、でもうそつかないもん」
「これはなあ、その先生とやらの顔を借りてるだけで…もういいや面倒くさい…。で?」
「で?」
「何か聞きたい事があったんだろう」
「聞きたいこと?なあに?」
「いや私に聞くな。お前がだよ」
「?」
「…埒があかん」
「らち」
「埒というのは……はあ、なんでお前のようなちびすけが私を喚べたんだ…」
「ユキちゃんに教えてもらった」
「恨むぞユキちゃんとやら…。質問もない、締めの儀も無ければ帰ろうにも帰れないじゃないか…」
「こっくりさんかえるの?」
「…暫く時間が掛かりそうだがな」
「じゃあおうちおいでよ。パパとママいないけど、へーすけくんがいるからさみしくないよ」
「誰だよへーすけくん…」
「へーすけくんはお目々ぱっちりしてて、おとうふ好きでおとうふの料理がすごく上手なんだよ」
「…油揚げ料理も作るよう、そのへーすけくんに言っておけ」
「りょうかい!」
こっくりさんと出会いました
prev | next