うつ伏せに寝転んで放り出された足と一緒に尻尾がゆらゆら。座る私の腰に腕を巻き付けて、膝に頭を乗せた愛狐がふにゃんふにゃんした声で名前を呼ぶ。仕事中は絶対邪魔をしない子だけれど、ヒーターを付けていても肌寒いから人肌恋しくなったのかな。小さな頭をゆるりと撫でれば、見上げてきたころりとした瞳と視線が合った。


「一旦きゅーけーい」

「わあい」


佐助の腕を一旦取って、その場にごろりと寝転がる。伸ばした背中や腰がこきんと間抜けな音を上げた。
寝転がった私の頭側にちょこんと座る佐助は久しぶりの狐姿。


「珍しいねー」


そう言ってふわふわ綿毛の喉元をくすぐれば、くふくふと気持ち良さそうに手へ擦りよってきた。

両手を上げてバンザイのポーズ。伸ばした体からホッと力が抜けて軽い眠気が思考を被う。

広がった私の髪でじゃれる仔狐。ふんふん嗅いで、今度は自分をふんふんしてからムフッと鼻をひとつ鳴らした。同じ香りに満足したらしい。可愛いやつめ。


「おいで」


右腕を伸ばして前足に触れると、それを合図に手の平へ飛び乗った。人間の時じゃ片腕で抱えるなんて力業は元親くん達でなければ出来ないけど、この姿の時は片手でも大丈夫。落ちないよう器用に体を収めた佐助。だけどお尻が少しはみ出している。ついこの間まではすっぽり手の平に収まっていたのに。

子どもが大きくなるのは早いなあ、なんて感動しつつも寂しさが顔を覗かせるのは仕方ない。ゆっくり動かして胸の上に到着。床に着いていた足の裏がひんやりしたのも最初だけで直ぐに温かくなった。

ぽてりと頭を寄せる佐助。すりすりと何度か擦りつけてから気持ち良さそうに目を細める。

ほこほこと胸が温かくなっていく心地よさを感じながら私もゆっくりと目を閉じる、そんな冬の日。




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