今までエルグ様の多忙により、機会が中々見つからなかったけど………遂にこの日が来ました!!待ちに待った実験!!さーてっどーしってやっろうっかなー!不死身だから薬物投与は無意味だし、まずは切り刻んでみようかな?腹かっ捌こうかな?細切れにしようかな?丸焦げにしようかな?あああああ、迷っちゃう!何だか大好物を幾つも並べられた気分!どれから手をつけよっかなー?あっこれ例えじゃない。だって実際に大好物ですしね!エルグ様も実験も!


「いいんですよね!?本当に好きにしていいんですよねっ!?」
「関係ないことをしたら蹴り飛ばすぞ」
「はいはーい!その時には一言かけてからでお願いします」


よし、まずは回復力を調べてみよう。回復のスピードはどれくらいなのか、傷の大きさに比例するのか、部位毎に回復力にムラがあるかどうか……今日できるのはそのくらいかな?刻めそうな道具は、メスに包丁に斧に鋸に鉈に剣。どれにしようかな?


「エルグ様、何に刻まれたいですか?リクエストがありましたら遠慮なくどうぞー」
「どれでもいい」


じゃあお先に剣からいこうかしら。どこぞのオモチャのようにブッスブッス刺していこう!えー、どこから刺そ……あれ?


「……あのーエルグ様?」
「何だ」
「包帯取らないんですか?」
「ああ」


そ、即答……。上半身に、まるで衣服のように纏っている包帯。何で巻いているのか分からないけど、本来の用途ではないのは明らかだ。だって不死身の身体に怪我なんて残らないでしょう。いえ別に理由は何だっていい。ファッションで巻いてようが個人の自由だし似合ってるし。でもそれ、ぶっちゃけ実験の邪魔なんですけど……剣ぶっ刺しても傷口が見えにくいんじゃあ刺した意味がないし。控えめに申し出たところ、ブチリと包帯を引きちぎった。ワオ、大胆!目の前で始まったストリップを見つめていると、段々と素肌が現れ始めた。体格の良さは包帯の上からでも分かっていたことだけども、直接身体を見るのは初めてだ。普通とは違う、土色のような色をした肌が包帯の下から顔を出した。これは生まれつきなのか、はたまた移植の際に変化したものなのか。


「失礼ですがエルグ様、この肌色は生まれつきで?」
「そうだが」
「あっそうですかー失礼しつれ、ぃ」


胴体から視線を外して顔を見ると、あるのはいつもと同じ顔。器用にも顔の包帯だけそのまんま残してあった。どんだけ拒むのこのお方。というか何でそこだけ残したの。胴体よりは見えやすいから取らなくてもいいかもだけど。


「まぁ、顔は多目に見ますよ……何です、顔見られたくないんですか?」
「………ああ」



え、図星?




「………やだああああああエルグ様ったらシャイなんですね可ん愛いぃいいいぃいいいいいっ!!クールな見た目と口調に反して素顔を晒せないほどの恥ずかしがりやさんなんてっ素敵なギャップ萌えありがとうございますっ!ああん堪らんっ、さあ今すぐそのお体を私めに委ねてっ……!!」
「喧しい、黙れ!そしてどさくさに抱きつくな鬱陶しい!」
「ヒギャっ!」


最初の宣言通り、見事に蹴り飛ばされた。私、ちゃんと予告してからお願いしますってお願いしたんですけど……流石エルグ様、容赦ない。残念なことに私ドMじゃないから蹴られても嬉しくもなんともないんですよね。むしろ痛いのでご遠慮させていただきたい。甘噛みならぬ甘踏みでしたら喜んで受けるけど。ああでも、これからもちょくちょく蹴られそう。ちょっとドMになる努力をしようかしら。


「そ、そんな照れなくていいのですよ……っいたた」
「先ずはその誤解を解け」
「大丈夫ですって!私エルグ様のお顔でご飯三杯余裕ですから……あっ関係ありませんでしたね。でもおかずにしたいです」
「……見たこともないくせに戯言をほざくな。耳障りだ」
「エルグ様の、ってのが大事なんですよー。実際のお顔がどうであろうと美味しいです!」
「気持ち悪っ……」




あの、そんな心から引かないでください。今の発言気持ちが籠りすぎてて私泣きそうです。


朽葉の下には何がある



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