一目惚れ。そんな体験は一度もなかった。いやむしろ、人を本気で好きになったことがなかった。だって女なんて顔とスタイルがよけりゃいいし、性格はまあ、よほどじゃなけりゃどうでもいいし。今まで付き合ってきた女はただ適当にやるだけの関係で、そこに感情なんてなかった。可愛いなーとかは思ったことはあるけど、それだけ。一度はそう思った女でも、面倒になったり飽きたらぽいって捨ててきた。だから、恋なんてしたことがなかった。周りがそんな話をしてたら鼻で笑ってた。くっだらねー!オイラはそんなガキっぽいことしねーよ!なんて思ってた自分をぶん殴りたい。くだらなくなんてない。あいつに話しかけられただけで今、すっげードキドキしてる。楽しいっつーかなんつーか、やべ、すっげぇいい!これが恋なんだ。

あいつから押し付けられた絆創膏を見る。飾り気のない、ただの絆創膏。なのに、あいつから貰った物だというだけですんごい重要な物に感じる。つーか実際重要、てか大事。多分左手の傷に貼れってことなんだろうけど、使える訳ないじゃん。取り出した財布の中に、大切に仕舞う。

さっきすれ違った大男は確か「ななし」と誰かの名前を呼んでいた。それを聞いてあいつは逃げたから、きっとそれがあいつの名前なんだろう。ななし。良い名前だなーと柄にもなく思う。
初めて顔をまともに見たけど、可愛かった。声は初めて聞いたわけじゃないのに、今日は聞いててくらくらした。気持ちが違うだけで、こうも変わるもんなのか。



「あ、おかえ…なんだよその不気味な笑顔は」

「聞いてくれよユー、ボギー!あいつの名前分かった!」



いつかその名前を正面から呼んでやる!


四時限目は知る

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