前の奴がメロンパン買い占めるんじゃないかとハラハラしたけど、セーフセーフ。無事に私の昼食となるメロンパンを手に入れることができた。 いやー、よかった。気分が良くて思わずスキップをしながら教室へと向かうと、途中でサニーに「だらしねぇ顔してっぞ」とまるで地面に落ちてるガムを見るような目で見られたので階段から蹴落としてやった。遠慮や心配なんてしてない。サニーなら大丈夫、タフだから。怒鳴り声を背中で聞きながらダッシュで教室に入る。


「リンちゃん、メルクちゃん、ただいまー」

「ななし、おかえりー」

「目当ての物は買えたのか?」

「おうよ!」


戦利品のメロンパンを二人の前に突き出す。二人とも驚いているようだ。ふふん、どうよこれ。トリコやゼブラ、そしてそして隣の大食い共という強敵がいながらも目的のメロンパンを手に入れるのは至難の業なんだから!
このお昼の時間は至福の時と言っても過言じゃない。戦利品のメロンパンにかぶりつく。外はさくさく、中はふわっふわ。ありきたりな言葉だけど、スーパーで売ってるメロンパンとは味も食感も、月とすっぽんどころか月と鉛筆くらい比べ物にならない。それほど美味しい。このメロンパンに一目惚れして以来、買える時はいつもメロンパンを買っている。飽きなんて全くこない。むしろ毎日昼食はメロンパンがいい。でも時間割が違う隣のクラスの奴とかが買っていっちゃうことがあるから、時々別のパンを泣く泣く買うはめになるときもある。今日は買えた日だ。なんて幸せなんだろう!
それにしてもさー、とリンちゃんが私を呆れた目をして言う。


「今日はレイ先生だったからよかったけど、授業が終わる直前に教室出るのは止めとくし」

「うぐっ」

「その通りだ、またマッチ先生に捕まえられて説教を食らうぞ」

「うぐぐ…」

リンちゃん、そしてメルクちゃんからの忠告に唸ってしまう。
確かにそれは嫌だ。だがしかし、そうでもしないとメロンパンが買えない。敵ははバリバリ運動系男子、かくいう私は帰宅部女子。スタートが同じだと、どう頑張ってもトリコ達に先を越されてしまう。だからこうして誰よりも早く教室を出ていかないといけないんだ!そのことをマッチ先生に力説したところ、「だからって授業の途中に抜け出していいわけがあるか!」と一刀両断されてしまった。流石剣道部顧問、素晴らしい論破だった。
それでも私は止めない。そう、全てはメロンパンの為に!


一時限目は他人事

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