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▼ 好きな子ほど弄りたいユー

※セドルがでしゃばってる
※夢主の出番少ない



「いつになったら字を書けるようになるんですか、貴女は」
「か、書けてます」
「これは文字ではなく、落書きといいます。読めないものをよくもまぁ文字などと言い張れますね」
「……もう、書類とかはパソコンで処理させてください!そちらの方がかさばらないし、」
「苦手なものから逃げるための言い訳でしょう。それに、私に長時間、パソコンの画面を見ろと?目が疲れます」
「……」
「はぁ……言い訳ばかりで、字を書けるように努力をしようとしないだなんて。それとも何です、今の言い方によると、私に落ち度があるとでも?」



ユーに用事があったから第一支部にやってきたら、面白い光景を見つけた。
聞き耳をたててみると、話の内容的に、部下に説教をしているようだ。それぐらいはどこにでもある(むしろその場で消されることのほうが高いくらいな)風景なんだけど、理由がずば抜けて変だ。何だよ字が書けないって。んな馬鹿らしい理由があるのかよ。滅多にデスクワークなんてやらないオイラでも(何とかギリギリ)読める字を書くぞ。もしかしてスラム出身の奴か?そう思って女の顔を見てみると、別に見た目はそんな感じじゃない。遠目だからはっきり分かんないけど。もっと詳しく知りたくて、ユーに声をかける建前で、説教中の輪に近付いた。



「虐めんのは止めてやれよ〜」
「……ああ、セドル。居たんですか?」


ちょっと刺があるように聞こえたのは気のせいだよな?だって悪いことしてねーし。
ちらりと女の方を見てみれば、キラキラと輝いている目と目があった。キラキラしてんのは涙のせいだろな。ん、ストライクじゃないけど、結構好みの目玉。人間の目玉は動かねーから集めてないけど、これはこれで可愛い。
「もういいです、下がりなさい」とユーの言葉で、女は一礼して早足に去っていった。あ〜あ、もうちょっと見てたかったのに。
弄るのはいいけど、度が過ぎると使い物にならなくなる可能性があるっつーのに。特にユーの場合、言葉が辛辣すぎるし正論だから余計辛い。



「虐めなんて人聞きの悪い。あれは注意です」
「注意にしちゃあしつこすぎだろ、あれ」
「私は何度も言っているのに、まともに字も書けない名前が悪いんです」
「悪筆ってやつ?とてもそんな子にゃ見えなかったけどな〜」


無言で差し出された紙。さっきの名前ってやつが出した書類っぽい。それを受け取って見る。
ん……………どう頑張ってもミミズにしか見えない線が、紙全体に書きなぐられてる。何これ。まさか文字?いやいやいや、え、マジで?オイラの目がおかしくなったの?冗談抜きで


「…これ、マジで字?暗号とかじゃなくて?」
「たかが報告用の書類に暗号なんて使わせるはずないでしょう。彼女曰く文字だそうです」


これは酷い。人は見かけによらないもんだなー。あんな可愛い目玉の子なのに。


「どうにかしてほしいものです。毎回こんな落書き同然なものを、書類に書かれる私の身にもなってください」
「馬鹿な子ほど可愛いっつーじゃん」
「貴方は例外ですけどね」


当たり前だ。オイラは可愛いじゃなくてカッコいい……あれ、今のは遠回しに「馬鹿」って言われたのか?反論してやりたいところだが、今回はまあ、スルーしてやるとしよう。
つーか、あの子のこと嫌いならオイラにくれればよくね?目玉可愛いし、字が汚いなら書類を書かせなけりゃいい。オイラんとこは主に食材収集だから、基本狩りに出掛けるだけだから、そもそも書類を書く必要は全くない。で、代わりに悪筆じゃないオイラの適当な部下をやる。おー、どっちもお得じゃんか!そう思ってユーに提案してみると、ふっ、と軽く息を吐かれた。今のはタメ息だよな、鼻で笑ったわけじゃないよな。



「誤解があるようなので弁解させてもらいます。別に私は彼女が嫌いなわけではありません」
「ん、そーなのか?」


でもあんだけ言葉でいたぶってたじゃん。そう反論すれば、綺麗な笑顔で言ってのけた。


「好きな娘ほど虐めたい、というものです」



うわっガキかよ。
てか今、虐めを認めたよな。さっきは虐めじゃなくて注意です!なんて言ってたくせに。

ユーの性格の意地悪さはよ〜く知ってる。つか思い知らされてる。そんなユーにこれからも虐められるあの部下のことを思うと、同情せずにはいられなかった。ご愁傷サマ。

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