18日目


元から荷物は少なかった上にトリコさんが手伝ってくれたので、部屋の片付けは直ぐに終わった。太陽は既に沈みかけていたので、簡単な夕食をとってシャワーを浴びた。当然ながらトリコさんの家のシャワーを使うのは初めてで、シャワーからサイダーが出てきた時の驚きといったら…変な悲鳴をあげてしまい、トリコさんに心配させてしまった。ベッドの上に仰向けになると、全く見慣れない天井。お菓子でできた、とても美味しそうな天井。でも気分は逆に沈んでいく。嫌でも此処は彼処ではないと思い知らされているようで、枕に顔を埋める。
ココさんとサニーさんは、落ち込んでいる私を心配してくれた。リンちゃんは私が羨ましいと言いながらも、何処かしら私を気遣ってくれた。トリコさんは、私を居候させてくれた。

ゼブラさんは、意気地無しな私を待っていると、約束してくれた。




どれもこれも嬉しいことのはずなのに、自分が惨めに思えてきて嫌になる。人の好意を素直に喜べないなんて。なんて最低なんだろう。
最初にゼブラさんに会った時、とても怖かった。だって第一級危険生物だったし、良い噂なんてなかったから(四天王の方々も喧嘩好きだのと言っていたし)。更に外見も、体格が私の倍はあるように見えたし、頬も裂けていて、お世辞にも人相が良いとは言えなかったし。トリコさんとの初対面ですら怯えていた私は、ゼブラさんを正面から見ることすら恐かった。

でも同時に、別の感情も存在していた。

その頃はまだ気付かないふりができるほど小さかったけど、ゼブラさんの人柄や強さ、そして優しさを知るにつれ、その感情は無視できないほどに大きくなっていった。その感情を認識したとき、とても自分が恥ずかしくなった。ゼブラさんは大切な仲間なんだ、仕事に私情を挟むなんて、と自分に何度も何度も言い聞かせた。でもそれは何の効果もなく、逆に意地を張りすぎて、私は迷惑をかけてしまった。


ねぇゼブラさん、私は貴方のことを