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▼ へなちょこ東峰くんとしっかり者


「東峰君、好きです。私と付き合ってください」


ハキハキとした声色で言われた言葉に、思わず目を疑った。いや、この場合は耳なのかな。
目の前にいる彼女は、名前というクラスメイトだ。しっかり者でリーダーシップがあって、クラスメイトや教師からは一目置かれている。ちょっと気が強い印象があって、オレとは正反対で、なんとなく関わりにくいなと思っていた。実際、接点なんてクラスが同じってこと以外ない。特に共通の話題なんてないし、話したことは殆ど無に等しい。あったとしても、教師からの伝言とかそれくらいだ。
そんな彼女からの突然の呼び出し。ちょっと放課後に残ってくれないかと言われて、一体何を言われるんだろうかと身構えていたら。全く予想もしていなかった告白。どう反応したらいいんだろう。落ち着きたいのに、あまりにも相手が真剣な顔で見つめてくるものだから、真面に顔を見ることもできない。あちこちに視線を迷わしてしまう。

「お、オレ?」

やっと出た言葉がこれってなんだ。直接呼び出されたんだから当たり前だろ。目の前の彼女も不思議そうに首を傾げた。

「それ以外に誰がいるの?」

オレしかいませんね。すみません。
いや、でもこれっておかしくないか?さっきも思ったが、オレと名前にはクラスメイト以外の共通点はないし、会話だって片手で数えられるくらいしかない。なのにどうしてオレなんかに告白してきたんだ。罰ゲーム?いや、彼女の性格からしてそれはない。でも本気とも考えにくいしなぁ…。

「無理なら無理とはっきり答えてくれないと」
「あっ、ご、ごめん」
「東峰君、この後部活でしょ?こんな事で時間を割かせちゃうのも申し訳ないから」

優柔不断なオレを責めるんじゃなくて、オレのことを気遣ってくれてる。こういった優しさが慕われる理由なんだろうなぁ。

「その……えっと、考えさせてくれない?オレ、名前のことあまり知らないからさ」

自分の優柔不断さには、我ながら呆れる。
でも、本当に彼女のことを知らないんだ。何も知らないのに断るのは何だか申し訳ない。それに、ちょっとだけ彼女のことが気になる。この機会に少しだけでも仲良くなれたらいいな、なんて。流石に図々しいかな…と彼女を伺うと、ポケットからメモ帳を取り出して何かしら書き始めた。


紙に書かれているアルファベットと記号の羅列を眺めながら、何てメールを送ればいいかなと一人首を捻った。




{告白に始まり告白に終わる話をシリーズにしようと思ってた}

……
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