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ユキ様フリリク:セドルと美食會デート

ジリリ、と喧しいベルの音が部屋中に鳴り響いている。あまりにも煩くて、でも止めにいくのが面倒だから毛布を頭まで引っ張りあげた。まぁ当然、静かになるなんてことはない。……ああもう面倒くせ〜な。渋々毛布から体を出す。さっきから煩い音源の前に立つ。頂辺にある、出っ張ったスイッチを押せば、あっさりと音が鳴り止んだ。
さっきまで喧しかった目覚まし時計の短針は五を指している。窓に視線をやれば、まだ太陽は端の方しか顔を出しちゃいない。
早朝から会議があるから、と目覚まし時計をセットしたんだけど。ちょっとばかし早く設置しすぎちゃったかなー。失敗失敗。
寝直そっかな?でも目は完全に覚めちゃったし、万が一寝過ごしちゃったら料理長から大目玉食らう羽目になるし。

ん〜……暇だし、散歩にでも行こっと。






早朝とはいっても、碌に電灯なんて設置してない支部内はいつもと変わらず薄暗い。まして今歩いている廊下は内部。窓がないんだから、朝日なんてあろうがなかろうが関係ない。それはそれで居心地がいいんだけど、折角の早朝なのに、あんまり爽やかな気分になれない。そんなのを此処に求めるのが間違ってるんだけどさ。
ちょっとつまんねーな。小さく舌打ちを溢すと同時に、前に人影が見えてきた。



「セドル様、おはようございます」




あ、名前だ。
おはよ〜。ブラブラ手を振ると、それに応えて手を振り返してくれた。ホントいい子だ。こういう優しさとかって女の子だからなのかな?他の奴は手を振っても振り返しちゃくんねーし。
でも何でまた、こんな朝早くに廊下を歩いてんだろ。真面目な名前のことだから何かすることでもあるのかと思ったけど、今日は別に急ぎの任務とかなかったしなぁ。それはあっちも同じ考えだったようで、不思議そうに首を傾げながらオイラに近付いてきた。


「随分とお早いお目覚めですね。どうかしたのですか?」
「いや〜、ちょっと起きる時間間違えちゃったんだよね。寝直すにも目が冴えちゃったし、暇だから支部内を散歩しよっかなーって思ってさ。お前は?」
「私も似たようなものです」
「へぇー」


しっかり者の名前にしては、何か意外。オイラみたいな失敗するんだ。
特に会話が続かなくて、ちょっと黙っていると「何か仕事はございますか?」と言ってきた。う〜ん、本当真面目。でもやらせるようなことなんてないよな〜。むしろ今日の会議で料理長から任務を貰うわけだし。


「あっ!んじゃさ、オイラに付き合ってよ」


何も面白そうな物がなさそうな支部内を一人で歩くのはつまんない。名前がいれば駄弁りながら時間が潰せるし、退屈しなさそう。


「セドル様さえよければ、喜んで」
「ありがとね」



普段はしないような、ちょっとした世間話とかをしながら歩いてく。

目玉は好き?って尋ねると特別好きではないです、と答えられた。残念。
最近おしり虫があちこちで目撃されているらしいですよ、と教えてもらった。多分ベイの奴だな、いや絶対あいつだ。今度会ったらしばいておこう。

そんな下らない話が凄く面白い。



……でも、何か物足りない。



う〜ん、刺激?いやいや、今はそんなの欲しくない。この、のんびりとした空間をぶち壊す気は毛頭ない。なら足りないのは何だ?
隣の名前に、ちらりと視線をやる。
……あ。


「……へっ、せ、セドル様!?」



空いている右手を掴む。それだけじゃあ足りなくて、指を絡め取った。じぃ、と名前の目を見つめると、戸惑いながら弱々しく握り返してきた。


「…よしっ!」


よく分かんないけど、これで正解な気がする。
そのままぐんぐんと足を進めていくと、名前の手を引っ張るような感じになっていった。ちょっと可哀想かなーなんて思ったけど、何とか追い付こうとする名前が可愛いからスピードは緩めてあげないもんね。

……
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