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▼ 変化したシルバー

「シルバーは、随分と変わったよね」


パートナーをボールに戻しながら、悔しそうに顔を歪めているシルバーにそう言った。


「どういう意味だ」
「成長したって意味」
「……嫌味か?」
「まさか」


折角褒めてるのに、失礼だなぁ。
まあ、そう聞こえちゃうのも仕方ないのかもしれない。最初に会った頃は泥棒な上横暴だったし。あと私にポケモンバトルで勝ったことがないし。むしろ後者の意味と捉えたのかもしれない。丁度バトルを終えたところだったし、タイミングが悪かったかな?

そう、昔は酷かった。ポケモンを人から盗んで、負けたら「使えない」とポケモンを罵って。強さ「だけ」を求める。とても自分勝手な人。何度かバトルをして、彼にはそんなイメージを持った。
でも、今は違う。ちゃんと手持ちのポケモン達と向き合って、心を通わせようと、信じようと頑張っている。こうして私とポケモンバトルをした時も、「回復するの、忘れるなよ」と一言くれる。ぶっきらぼうな言い方だけど、彼らしい優しさだと思っている。



「シルバーが変わったのって、もしかして私のおかげ?」
「……何言ってるんだバカ」


お厳しい言葉を頂いてしまった。否定は分かっていたけど、まさかバカとまで言われるとは。そんな軽い悪口が微笑ましくて思わず笑うと「何がおかしいんだ」ときつく睨まれた。本人は今、どんな表情をしているのか自覚してないんだろうな。もともとの目付きが悪いから、今の顔は結構キツイ。それを言ったら傷付きそうだから言わないけど。私以外の誰かに、そう伝えられる勇者がいることを願うばかりだ。そうしたら、きっとその場はばつの悪い顔をして去っていくけど、人目のつかない所で鏡と顔を合わせてどうにかしようと頑張るはずだ。多分。


「じゃあ、また来週ね」


向けられた背中にかけた声に、返事は返ってこない。せめて一言くらいは欲しいな。



「お前に決まってんだろ」
「え、」



顔を上げれば、去ろうとしているシルバーの背中があった。慌てて彼を追いかける。


「ちょ、ちょっと!ねぇ、今なんて」
「煩い。ついてくんな、名前」


歩幅が違うせいか、彼に追いついて顔を見ることはできなかった。でも、髪の間から覗く耳は髪と同じくらい赤くて、頬が緩むのが止められなかった。
……
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