以前からちょくちょく夢に出てくる青髪の少年。私に名前を訪ねて、私の名前を親しげに呼ぶんだけど、最近その夢の続きを見るようになった。全然よくないけど。なぜならその続きは私の疑問を解決するどころか、更に増やすようなものだったから
私の名前らしきものを呼んだ後、誰かに呼ばれたらしく私に背を向けて何処かへ行こうとする。最初はその少年を引き止めようと手を伸ばしたら、その前に少年が振り返って"約束"をしてきた


―オレの名前は明日、此処に来たら教えるからな!!


この夢を週に2・3のペースで見るが、少年は一向に名乗る気配を見せないどころか、約束の途中で終わったりする
普通の夢なら、こんなに同じ夢を繰り返すことはない。ということは、これは私の過去で、私は夢で思い出しているのだろうか。そう思って過去を振り返ってみると、青髪に一人、心当たりがいる。此処へ来る前に、料理人になるために私と修行した親友は、多分夢の少年と似た髪の色だった。でもそれだけだ。親友は私を「スロー」と呼んでいたし、知り合ったのは4年前だ。そもそも親友の一人称は「オレ」ではあったが男ではない。よって親友ではない。するとまったく少年に心当たりが無くなる。基本興味が無いことは忘れる私だから別に可笑しなことではないけど、それなら何故、何度も夢に出てくるのだろうか

私と少年は何時、何処で出会ったのだろう
少年の約束した「明日」は何時やってくるのだろうか






「自分が分からない」

「それ、今言うことかぁ〜?」


どうでもいいからさっさと終わらせるぜ、と言うグリンの背中を一瞥して、死骸の上から立ち上がる。辺りを見渡せば赤赤赤。鉄臭い空気が漂っている。ただ、その原因は何処にも見当たらない。私がさっきまで椅子代わりにしていた死骸も無くなった。全てグリンの胃袋へと収まったからだ。グリンはただ腹が減っているから吸っただけなんだろうけど、私からしたら無意味に殺して死骸を放置するより善行だと思う。ま、だからと言って悪行なのに変わりはないけども。それにしても最近は面倒なことばかりだ。トミーが負傷したから私が代理するはめになる、トミーから拒絶される、知らない少年が夢に何度も出てくる、アルファロ様に過去を検索される、トミーに物を投げ付けられる…あれ、最近の私どうしてこんなに運悪いんだろう。美食會に来てから散々な目に会ってるけど、何なのこれ


「何考えてんだ、スロー」

「ん、ああごめん。獲物は?」

「オレのペットに持っていかせた。方向音痴だが、ま、大丈夫だろ〜よ、ヒッヒ」


私が自分の不運を振り返っているうちに終わってしまったのか、何てこった。そんなグリンは何故か近くにあった倒木に腰を下ろして葉巻を吸い始める。どうでもいいかもしれないが、わざわざストローに葉巻を挿す意味があるのだろうか


「じゃあ終わりか。もう帰る?」

「あ〜?いや、オレのペット行かせてるって言ったばかりだろ。歩いて帰んのかよお前」

「あー、その間何か狩るの?」

「ちげぇよ。スロー、隣座れ。暇だし話ぐれぇ聞いてやってもいいぜぇ〜」


話?と聞けば、何かさっき言ってたろ、と返された。余程の暇なのか、はたまた気紛れか。それでも誰かに話したい気分だし、折角だから言葉に甘えさせてもらおうかと思い、隣へとお邪魔する


「話すと、長くなるかもしれないし、よく分からなくなるかもよ」

「別にいいぜ〜、なんてったって暇だしな。ジャックが戻ってくんまでまだまだだしな〜ヒッヒッヒ」
■ それでは語りましょうか

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