「・・・え、お前人間?」

初対面で言うような言葉ではないけど、つい言ってしまった。


諸事情により人間にしては感情が無に等しい私は美食會として生きていく事になった。
一般人だった私はある日とある出来事により普通に生きることができないことを悟った。だから普通に生きることを諦め、自分の性に合っていると思い立ち、なんとか美食會本部に乗り込んだ。とりあえず襲ってくる奴等を適当に殺してたら、ボスっぽい人に会って用件を言うと、まぁあっさりと仲間にしてもらえた。
そんな自分に与えられた立場は副料理長補佐。中身は名前の通りなので説明は省略。
どうやら彼等は個性が強いというか自己中というか、まともに仕事をしてくれないから、補佐がいてくれたら助かるとのことだ。その説明を聞いて、どうしても「パシリ」という単語が頭から離れなかったのは当然と言える。とにかく紹介しようという事で、本部の幹部達を集めてくれた。明らかに皆血の匂いが染み付いていた。別に今まで人を殺し慣れていた訳ではないから好きではない(かといって特別嫌いというわけでもないが)。
正直殺伐としてそうだから絡まれるかと思ったが、周りからはそこまで狂気じみた視線はなかった。どちらかというと変なものを見る目で見られた。嫌われてはいないらしい。
そして、料理長ことクロマドさん(様付けはめんどいからしない)から他の人たちを紹介してもらった。

美食會だから外見があれな人もいることぐらい予想していた。だからグリンパーチには特に驚きはしなかった。生憎、たかが4本腕くらいで驚くような神経は持ち合わせていない。
でも、ある1人を見た時、思った事をつい口にしてしまった。それが冒頭のである。




「何やってんのお前。さっさとそれ終わらせろよ」
「本来はお前がする仕事じゃんか。文句言うなら今すぐ代われ」
「はぁ?そのためのお前だろ」
「まかり間違っても補佐という存在は、仕事を押し付けるためではないよ」

何が言いたいのかというと、上司である副料理長トミーロッドにその日から嫌われている。いや、根に持たれているというのが正しいのか。
そりゃぁ初対面から人間否定されたらむかつくだろう。しかも外見で。
でも鼻がなくてゴキブリの翅が生えていたら流石に人とは認識はしない。なんか知能が高い猛獣かと思ってしまったのは不可抗力だ。ややこしい外見しているこいつが悪い。

「グリンに資料渡しに行って来るから後よろしく」
「ざけんな、ぅヴぇっ」

おい、蟲産むなよ。
■ 仕方がない

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