ジョージョーの詳しい説明によると、美食會では不可能だけど、治る見込みはあるそうだ。己のグルメ細胞に適した食材を食べるか、癒しの国「ライフ」へ行って薬を買ってくるかの方法で私の傷は癒えるらしい。前者は無理だ。悲しいことに私は自分に適した食材を知らない。いや、もしかしたら今まで食べてきた中で一つくらいはあったのかもしれない。でも、私は適合するしないに対して興味が無い。それなのに私がどうして覚えていようか、いや覚えているはずがない。もう一つの手段についてはまぁ、面倒だ。グルメタウンのようなセキュリティは無いから別に入れるが、なにせ再生屋がいる。私はあまり知らないけど、ジョージョー曰く腕の立つ奴らしくて、伝説の美食屋の孫だとか。名前何だったっけ…て…、鉄鍋?だっけ、忘れた。とりあえず行くのは危険だということで結局治せない。最初は喋らなくてすむなんて楽だぜひゃっはー!なノリだったけど逆だった。ものすごく面倒くさい。言いたくても言えないからジェスチャーで伝えるしかない。それでも無理ならと手帳とボールペンを持ち歩くことになった。
そういえば、仕事を再開してからトミーが本部に見当たらなくなった。何でもセンチュリースープの大仕事を引き受けたんだと。そのお供にボギーとバリーが選ばれたようで、その二人も今は本部に現れない。あの面倒くさがりなトミーが珍しい。あとグリンが「面倒だけどま、頑張れよな〜」と言ってきてイラッっとしたから急所を蹴り上げてやった。男限定の。悶絶してたグリンを見るのはレアで結構面白いと捨て台詞を残してから別れた。何か叫んでたきがしたけどスルー。そして只今はスターの仕事を手伝っている。もちろん他の副料理長等はいない。


「…スロー、お前はまだ休んでいてもいいはずだが」
「……(別にお前にとってマイナスになることは無いんだからそこは何も言わずに仕事を押し付けてなよ)」
「まだ疲れは残っているのだろう。それなら…」
「(それに仕事しくじったのに今回は咎められなかったんだから、その分働いたほうがいいだろうし。あと書くの面倒だからもうやめて)」
「……明日は休め」

お前はおかんかと書こうと思ったが、面倒なので止めた。スターはいい奴だ。私の体調を気遣ってくれてる。セドルあたりも心配してくれてたな。ユーの奴は「良い経験だったのでは?」と人を見下した微笑みをしながら言ってきた。確かにいい経験かもしれない。これからは事前に準備するよう心掛けようかな。でも面倒なことをするぐらいならいっそ殺されたほうがましな気がする。あれ反省してない。全くいい経験になってないや。

意識を取り戻してからまだ半月。でも面倒なことが嫌いな私はこの状態に耐え切れない。そんな訳で翌日、料理長に報告しといた。

「(料理長、ちょっと出掛けてきます)」
「ム・・・気をつけるのだぞ」


いいのかよ。
あっさり許可を得たので行くことにした。
目指すは癒しの国「ライフ」。
■ さぁ出掛けようか

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -