それは終わりのSHRのことだった



「起立、礼、おねがいします」



「はい、おねがいします」




橘先生がクジを持って前に立つ



今日は待ちに待った席替え



私は何が何でも一番前にならなくてはいけない・・・。




「えっと、クジを引く前に目が悪い人とか



前の席で勉強がしたいって人がいるなら配慮するけど」




『はい!!!』



「・・・御鹿さん。俺の記憶が確かなら君、視力2.0だよね?」



『はい、そうです!』



「それじゃあ、やっと真面目に勉強する気になったのかな?


この前の考査はすごかったからね」



『あ、いえ別に。』



「・・・じゃあ、どうして?」



『先生が好きだからです!!!


また言わせるんですか?!』




私は先生が大好きだ



これはクラスの人だけではなく学年全体知ってるであろうこと



包み隠さず好きだと伝えているのに先生は答えてはくれない



それどころか前のクジでは私をわざと一番後ろの席にした




「またそんなこと言って・・・。」



『冗談なんかじゃないですから!!!』




はぁ、とため息をつく先生に楯突く



このやり取りも毎日のことで




『先生童貞だから


それ知られてくなくて答えないんだ!!!絶対そうだ!!!』




私は少し先生を困らせようとして出任せで言葉を言った



教室からはクスクスと笑いが起こる



してやったり、とドヤ顔をしていれば




"バンッ!!!!!"




先生が教台を蹴った



あの"優しくてかっこいい橘先生"が




「・・・うるさい



時間がなくなったので席替えは明日にします




あと御鹿さんはこの後、生徒指導室に来てください



以上です、挨拶はいりません」




そう言って教室を出た橘先生



静まり返ったこの場でみんな唖然としてた




優しいオーラなんて微塵もなかった



むしろ黒いオーラが見えた





"キーンコーンカーンコーン"




チャイムが鳴りみんな帰っていく中で



何人かは"この後、頑張れよ"と言ってくれた




同情するなら代われ、と言いたかった




重たい足を引きずって私も教室を出る




生徒指導教室までの道のりが地獄にしか思えない




........たすけて、ママ!!!!!







_________続??