※アジアサーキット編まっただ中 ※櫂くんがリミットブレイク ※最早別人← ※視点が迷子←← ※ぴくしぶより再録←←← 上記オールオッケーな方のみスタンドアップ! 「あ、お兄さん電話鳴ってますよ!」 そう言われてはい、とカムイから渡された携帯のディスプレイには、あの人の名前が表示されていた。 「もっ、もしもし、櫂くん!?」 息せきって尋ねれば、アイチの慌て具合が可笑しかったのか、櫂は喉奥で『ククッ』と笑う。 『そう焦らなくていいだろう』 「で、でも…!」 笑わないでよ、もう!とむくれると、彼は素直に謝り、『ところで、』と切り出した。 『お前、今どこにいる』 「え、どこって、シンガポールのホテルだよ?」 『なら、外に出てみろ。月が綺麗だ』 「…………」 『どうした』 「へ、いやあの、櫂くんがそんな事言うと思わなかったから…………」 『…………お前は俺を一体何だと思っているんだ』 「ふええ、ごめんなさい!」 とりあえず、言われた通りに外へ出てみる。そのまま、なんとはなしに、足の向くまま散策してみた。 『…………大会、どうだった』 「うん、……強い人がいっぱいいたよ」 ぽつぽつ、今までのファイトを振り返りながらアイチは語る。特に相槌を打つでもなく、櫂はただ黙って聞いていた。 「……大体、こんなかんじかな」 『……そうか』 「ところで、急に電話なんてどうしたの、櫂くん?」 いつの間にか、あの夜、コーリンから灼熱の獅子を貰った場所に来ていたらしい。なんとなく足を止め、アイチは、居場所を聞く代わりに尋ねる。 『それは……』 そんな声が聞こえた、と思った瞬間、暖かい何かに包まれ、「えっ、何!?何!?」と狼狽の声を上げた。 訳が分からす混乱する彼の耳に降ってきたのは、先ほどまで聞いていた、しかし決してここにはいないはずの人物のもの。 「アイチ…………」 「えっ、櫂くんっ!?え、えっ!?どうしてここに!?」 「…………お前、今日誕生日なんだろう。だから……」 「うん、そうだけど……って、え?」 「…………おめでとう。アイチ」 「ふえ…………」 優しい声で囁かれ、真っ赤になってしまう。 「大した物は用意していないが……これで我慢してくれるか?」 「え……って!?」 いきなり抱擁を解かれたと思ったら、体を反転させられてキスされた。当然アイチの顔は赤くなる。 「……っ、は、ちょっ、櫂くんここ公共の場所……!」 「別にいいだろう」 「いや、よくないから!櫂くんがよくても僕は恥ずかしいの!」 「そうか?」 不敵に笑う櫂の顔を見上げながら、真っ赤になって抗議する。が、相手は歯牙にもかけない。しばらく抵抗していたが、ふらついてしまった。 今まで知らず気を張り詰めていたらしい。急に襲ってくる眠気に耐えられず、アイチは崩れ落ち、櫂に支えられた。 「無理するな。今日はもう、ゆっくり休め」 「でも……せっかく、櫂くんと、会えた、のに………」 必死に睡魔と闘いながら、懸命に伸ばしてくる手を取り、青い髪に隠れた額に口づける。 「心配するな。大人しく寝ろ」 「…………はい…………」 そしてとうとう寝入ったアイチを抱え上げ、櫂は歩き出した。 「……勝て。そのまま勝って勝ち進め。その先で、俺は待ってる―――」 願うように呟かれたその言葉は、しかし、眠りの国へ旅立ったアイチの耳に届くことはなかった。 翌朝目が覚めると、そこはホテルの自分の部屋で、隣のベッドではカムイが眠っていた。勿論櫂はいない。 「あれは……夢……?」 でも、唇には、確かにキスの感触が残っている。 「ありがとう……櫂くん……」 アイチは、口元を押さえながら、幸せそうに微笑んだ。 夢か現か幻か櫂デレがメガブラスト通り越してリミットブレイク。うわあああこっちが恥ずかしい← 多分櫂くんの精神だけ飛んで来たんじゃないかな!肉体はまだ太平洋横断中みたいなさすが櫂くんKAGEROUいや違ったNARUKAMIの王子様!← 2012/06/06 prev|top|next |