皆は彼に冷たいだとか厳しいだとか、そんなイメージを持っているけど私は違う。全く正反対。彼は優しい。私は彼といるとぽかぽかする。それぐらい優しい。私が困っているとすぐに手をさしのべてくれたり。彼の癖？のぼやき？も確かに文句と言えば文句なんだけど、私のことを気にかけてくれている内容なのだ。ほら、今日も日直だからって無理やり面倒を押し付けられて困っている私を助けてくれた。 「いつもいつもごめんね？」 『別に。大したことしてないし』 大体さあ、といつものアレ。でも私には何も言わないんだよね。矛先はいつも先生だったり、困らせている原因の物だったり。今日は先生に向かっている。私の運が悪かったんだよ、と言うと先生が気が利かないだけだ、と返された。 「伊武くんてさ、」 『何、』 「優しいよね！」 『…俺が？』 「うん！すっごく優しい！」 『…っ…俺は優しくなんてないよ』 「そうかな。だってほら、今だって」 日直じゃないのに手伝ってくれてる。困っている人をほっとけないなんて、まさに優しい人、じゃないか。そんなことを伊武くんに伝えると伊武くんは小さく息を吐いた。 『俺がほっとけないのは困っている人じゃない』 「え？」 『困っている、人、じゃないんだ』 「…うん」 『…分かってる？』 「…うん？」 『…井上さんて、結構鈍いよね』 「…え？」 こんなにアピールしてるのになあ (もう一度言うけど、俺がほっとけないのは困っている"人"じゃない) (…？…うん、？) (はあ、やんなるよなあ) |